令和08年度 第111回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 206,207

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問 206  リアルタイム正答率 : 72.0%
問 207  リアルタイム正答率 : 62.7%

 国家試験問題

国家試験問題
74歳男性。紅葉狩りのため、夫婦で3泊4日の温泉旅行に行った。帰宅後から発熱症状があり、体温38.9℃(腋窩)、咳と呼吸が困難となる状態のため、総合病院を受診した。胸部レントゲン画像所見等から肺炎と診断され、入院加療となった。入院後、採血、血液培養、尿中抗原検査が実施され、以下の処方の薬剤の投与が開始された。

(検査結果:入院直後)
体温39.1℃、CRP 10.2 mg/dL、CCr 52 mL/min、AST 19 IU/L、
ALT 18 IU/L、SpO2 92 %

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投与開始3日目に血液培養検査の結果が出て、レジオネラ菌が原因であることがわかった。咳、呼吸困難の症状は軽快しており、食事も摂れるようになり、解熱傾向となった。そこで、退院に向けて、主治医から処方の薬剤を内服に切り替えたいとの相談が病棟担当薬剤師にあった。

(検査結果:点滴開始3日後)
体温37.2℃、CRP 2.3 mg/dL、CCr 48 mL/min、AST 19 IU/L、
ALT 18 IU/L、SpO2 97 %

問206(物理・化学・生物)
処方されたレボフロキサシンは、ナリジクス酸からの構造変換により開発された抗菌薬である。レボフロキサシンに関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。

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1 イソキノリン構造を持つ。


2 ナリジクス酸の6位へフッ素原子を導入したことにより、抗菌作用が増強した。


3 不斉炭素の立体配置はR配置である。


4 抗菌作用の発現には、1位の窒素原子と3位のカルボキシ基によるキレート形成が必須である。


5 キラルスイッチにより副作用が軽減した医薬品である。




問207(実務)
内服への切り替えに関して、病棟担当薬剤師から主治医への提案として、適切なのはどれか。2つ選べ。

1 CRPの数値が基準値以下になってから、切り替えてください。


2 腎機能の低下が認められますが、切り替えは可能です。


3 初回投与量は、点滴静注時と同量で構いません。


4 抗菌効果を高めるためにセファクロルを併用してください。


5 キレート形成により吸収を高めるため、アルミニウム製剤を同時に服用させてください。

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問 206    
問 207    

 e-REC解説

問206 解答 2、5

1 誤
レボフロキサシンは、4−キノロン構造及びピペラジン構造を持つ。

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2 正
レボフロキサシンは、ナジリスク酸の6位へフッ素を導入することにより、抗菌作用が増強し、抗菌スペクトルが拡大した抗菌薬である。

3 誤
レボフロキサシンの不斉炭素に結合する原子を順位付けすると以下のようになり、不斉炭素の立体配置はS配置である。

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4 誤
レボフロキサシンは、3位のカルボキシ基と4位のカルボニル基がDNAジャイレースやトポイソメラーゼⅣ中のマグネシウムイオンとキレート形成し、酵素活性を阻害することで抗菌作用を発現する。

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5 正
キラルスイッチとはラセミ体医薬品において、活性を示す一方の異性体のみを新たに医薬品として開発する方法である。レボフロキサシンは、もともとラセミ体であるオフロキサシンから、抗菌活性が強く、副作用が少ないS体のみを取り出して製剤化したものである。


問207 解答 2、3

1 誤
点滴静注から内服への切り替え(スイッチ療法)の目安は、①呼吸器症状の改善、②CPR<15 mg/dL、③経口摂取の十分な改善、④体温が少なくとも12時間以上38℃未満であることの4項目を全て満たした場合とされており、CPRが基準値(基準値:0.3 mg/dL以下)になるまで待つ必要はない。

2 正
本患者は、入院直後のCCr が52 mL/minで、点滴開始3日後が48 mL/min(基準値:91〜130 mL/min)と腎機能の低下が認められる。レボフロキサシンは腎排泄型の薬剤であるため、腎機能に応じて投与量や投与間隔の調整は必要であるが、入院直後からレボフロキサシン注射液を使用しており、内服へ切り替えること自体に問題はない。

3 正
レボフロキサシンは経口投与におけるバイオアベイラビリティが非常に高く、点滴静注時と経口投与時とで血中濃度にほとんど差が出ない。よって、内服への切り替えにおいて初回投与量は、点滴静注時と同量で問題ない。

4 誤
セファクロルはセフェム系抗菌薬であり、レジオネラ菌に対する適応はない。一般に、レジオネラ菌にはニューキノロン系抗菌薬やマクロライド系抗菌薬が用いられる。

5 誤
レボフロキサシンはアルミニウム製剤と同時に服用するとキレートを形成し、吸収量が低下するため、同時に服用してはならない。アルミニウムやマグネシウム、鉄といった2価以上の金属を含有する製剤を併用する場合は、レボフロキサシンの服用から1〜2時間空ける必要がある。

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