令和02年度 第105回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 208,209

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問 208  正答率 : 75.5%
問 209  正答率 : 53.0%

 国家試験問題

国家試験問題
65歳男性。がんで入院中。当初、医療チームの方針として、アプレピタントカプセルを制吐剤として投与することが計画されていたが、口内炎が悪化したため、ホスアプレピタントの点滴静注への変更について再度検討することとなった。

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問208(実務)
処方の再検討に際して、薬剤師が医療チームに行う説明として適切でないのはどれか。1つ選べ。

1 ホスアプレピタントは、アプレピタントの経口投与が困難な患者さんのために開発された薬剤です。


2 ホスアプレピタントは、アプレピタントの水溶性を向上させたプロドラッグです。


3 ホスアプレピタントは、アプレピタントの窒素原子にリン酸基が導入されたことにより、血液脳関門を通過しやすくなっています。


4 ホスアプレピタントは生体内の代謝反応を通じて、速やかにアプレピタントに変化します。


5 ホスアプレピタントの投与においても、アプレピタントにおいて認められているような代謝酵素の阻害に基づく薬物相互作用に注意する必要があります。




問209(物理・化学・生物)
アプレピタントからホスアプレピタントが創製されたのと同様な目的で開発されたプロドラッグはどれか。1つ選べ。

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問 208    
問 209    

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問208 解答 3

アプレピタントは、嘔吐中枢や化学受容器引金帯(CTZ)に存在するニューロキニン1(NK1)受容体を選択的に遮断し、抗悪性腫瘍薬の投与に伴う悪心・嘔吐を抑制する経口制吐剤である。アプレピタントはCYP3A4の基質であり、CYP3A4の阻害・誘導作用及びCYP2C9の誘導作用を有する。
ホスアプレピタントは、アプレピタントの窒素原子にリン酸基を導入することで、水溶性を向上させ、注射剤として投与できるように作られたプロドラッグであり、静脈内投与後、脱リン酸化酵素により速やかにアプレピタントへ代謝される。

1 適切
ホスアプレピタントは、アプレピタントの経口投与が困難な患者に対して点滴静注で用いるため、注射剤として開発された。

2 適切
ホスアプレピタントは、アプレピタントの窒素原子にリン酸基を導入することで、アプレピタントの水溶性を向上させ、注射剤としたプロドラッグである(前記参照)。

3 不適切
一般に、血液脳関門は脂溶性の高い化合物ほど通過しやすいため、リン酸基の導入により水溶性が向上したホスアプレピタントは血液脳関門を通過しにくい。

4 適切
ホスアプレピタントは静脈内投与後、脱リン酸化酵素により速やかにアプレピタントへ代謝される(前記参照)。

5 適切
ホスアプレピタントもアプレピタントと同様にCYP3A4の阻害・誘導作用及びCYP2C9の誘導作用を有するため、薬物相互作用に注意が必要である。


問209 解答 4

ホスアプレピタントは、アプレピタントの水溶性を向上させ、注射剤として投与することを目的に作られたプロドラッグである。

1 誤
オセルタミビルリン酸塩は、活性体のカルボキシ基をエチルエステルとすることで、脂溶性を増大させ、消化管からの吸収を高め、経口投与することを目的に作られたプロドラッグである。
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2 誤
バラシクロビル塩酸塩は、アシクロビルのヒドロキシ基をL−バリンエステルとすることで、ペプチドトランスポーターによる消化管からの吸収を高め、経口投与することを目的に作られたプロドラッグである。
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3 誤
ドカルパミンは、ドパミンの2つのヒドロキシ基とアミノ基を化学的に修飾することで、消化管や肝臓で不活化されにくくし、経口投与することを目的に作られたプロドラッグである。
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4 正
クロラムフェニコールコハク酸エステルナトリウムは、クロラムフェニコールの一方のヒドロキシ基をコハク酸エステルナトリウム塩とすることで、水溶性を向上させ、注射剤として投与することを目的に作られたプロドラッグである。
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5 誤
ロキソプロフェンナトリウムは、活性体のヒドロキシ基をケトンとすることで、副作用の消化管障害作用を軽減することを目的に作られたプロドラッグである。
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