令和03年度 第106回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 208,209

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問 208  正答率 : 84.4%
問 209  正答率 : 48.7%

 国家試験問題

国家試験問題
問208〜209
65歳女性。2日ほど前から、下腹部の痛みを感じ、皮疹が発現したため、かかりつけ医を受診したところ、帯状疱疹と診断された。以下の処方が出され、処方箋を持って薬局を訪れた。面談で「1日5回飲むのは大変で飲み忘れると思う」と訴えがあった。

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この患者は、この薬局をかかりつけとして日頃から利用していたので、薬歴を確認したところ、3年前にも帯状疱疹でバラシクロビル塩酸塩錠500 mgを服用しており、1日3回服用でもアドヒアランスが良好ではなかったことが判明した。そこで、薬剤師は医師に連絡をとり、アドヒアランスが不良となる可能性があることを伝え、1日1回のアメナメビル錠への変更を提案したところ、承諾を得たので、以下の処方に変更し、患者に服薬指導した。

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問208(実務)
薬剤師がこの患者に指導した内容についてSOAP形式で薬剤服用歴管理記録に記載した。(S)、(O)、(A)、(P)の項目と対応する内容の組合せとして、正しいのはどれか。1つ選べ。

1 P:薬歴(3年前)に帯状疱疹でバラシクロビル塩酸塩錠500 mgを服用しており、1日3回でもアドヒアランスが不良であった。


2 O:1日5回飲むのは大変で忘れると思う。


3 S:医師にアシクロビル錠400 mg 1日5回から、アメナメビル錠1日1回へ処方変更の提案をしたところ承諾を得た。


4 A:アシクロビル錠400 mg 1日5回から、1日1回投与のアメナメビル錠が最適と判断した。


5 S:患者にアシクロビル錠400 mg 1日5回から、アメナメビル錠1日1回へ変更になったことについて説明し、1回2錠を1日1回朝食後に飲むように指導した。




問209(物理・化学・生物)
次のア〜ウは、この患者に対して検討されたアシクロビル、バラシクロビル、アメナメビルの構造式のいずれかを示す。これらの薬物に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。

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1 アはイのプロドラッグであり、イに比べて1日の服用回数が少ない。


2 ア及びイの構造に含まれる核酸塩基はグアニンである。


3 ア〜ウはすべて塩基性官能基をもつ。


4 ウはDNA複製の基質として取り込まれ、ウイルスDNA鎖の伸長を阻害する。


5 今回最初に処方された薬物イが最終的にウに変更された。

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問 208    
問 209    

 e-REC解説

問208 解答 4

SOAP形式とは、POS(問題志向型システム)を実践するための薬剤服用歴管理記録の記述法であり、患者の情報をS(Subjective data:主観的情報)、O(Objective data:客観的情報)、A(Assessment:評価)、P(Plan:計画)に分けて記載する。

1 誤
Oに記載する内容である。

2 誤
Sに記載する内容である。

3 誤
Pに記載する内容である。

4 正
Aに記載する内容である。

5 誤
Pに記載する内容である。


問209 解答 4

本問の構造アはバラシクロビル、イはアシクロビル、ウはアメナメビルである。

1 正しい
バラシクロビルはアシクロビルのプロドラッグであり、経口吸収性を改善する目的で作られたものである。そのため、バラシクロビルはアシクロビルと比較して、1日の服用回数が少ない。

2 正しい
バラシクロビル及びアシクロビルの構造に含まれる核酸塩基はグアニンである。
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3 正しい
塩基性官能基とは、Hを受けとることができる官能基であり、非共有電子対が局在化したNをもつことが多い。バラシクロビル、アシクロビル及びアメナメビルは、いずれも非共有電子対が局在化したNをもつため、塩基性官能基をもつ。
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4 誤っている
DNA複製の基質として取り込まれ、ウイルスDNA鎖の伸長を阻害するのはバラシクロビルとアシクロビルである。アメナメビルは、ヘリカーゼ・プライマーゼ活性を直接阻害することで、二本鎖DNAの開裂及びRNAプライマーの合成を抑制し、DNAウイルスの増殖を抑制する。

5 正しい
今回最初に処方された薬物イ(アシクロビル)が最終的にウ(アメナメビル)に変更された。

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