令和02年度 第105回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 210,211

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問 210  正答率 : 52.0%
問 211  正答率 : 49.0%

 国家試験問題

国家試験問題
73歳男性。高血圧と糖尿病のため以下の薬剤が処方されていた。

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薬剤師が患者宅を訪問した際、この患者に末梢神経障害などがみられ、薬剤をPTPシートから取り出すことに不自由していた。そのため、薬剤師は、一包化することを医師に提案することにした。患者が服用しているオルメサルタンメドキソミル錠の添付文書を確認したところ、下記のような記載があった。

【取扱い上の注意】
本剤をメトホルミン塩酸塩製剤と一包化し高温多湿条件下にて保存した場合、メトホルミン塩酸塩製剤が変色することがあるので、一包化は避けること。

問210(物理・化学・生物)
オルメサルタンメドキソミル錠に含まれる有効成分Ⅰはプロドラッグであり、生体内において図に示すような活性体ⅡとⅢを生じる。一方、高温多湿条件下でもⅠの加水分解反応によってⅢが生成し、これとメトホルミンとの反応によって変色が起こるものと推定されている。以下の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

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1 ⅠはⅡの疎水性を高めることにより、経口吸収性を改善したプロドラッグである。


2 Ⅱのテトラゾリル基はヒドロキシ基の生物学的等価体である。


3 Ⅰの炭酸エステル部位の酸化反応により、ⅢとCO2を生じる。


4 メトホルミンは高い求電子性をもつ。


5 メトホルミンとⅢとの反応は縮合反応である。




問211(実務)
この処方を調剤する場合に、薬剤師の対応として適切でないのはどれか。1つ選べ。なお、それぞれのケースにおいて患者の了承はあるものとする。

1 オルメサルタンメドキソミル錠とそれ以外の薬剤を別々に分包する。


2 医薬品インタビューフォームなどを参考にし、変色が起きないと考えられる日数で分割調剤する。


3 乾燥剤を入れた缶に保存するなど、変色が進まない保管方法を患者に指導する。


4 メトホルミン塩酸塩錠を他のビグアナイド系薬剤に変更可能か医師と協議する。


5 オルメサルタンメドキソミル錠を他の降圧剤に変更可能か医師と協議する。

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問 210    
問 211    

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問210 解答 1、5

1 正
オルメサルタン メドキソミル(Ⅰ)は、オルメサルタン(Ⅱ)のカルボキシ基をエステル化することで、疎水性を高め、経口吸収性を改善したプロドラッグである。
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2 誤
テトラゾリル基の水素原子は、カルボキシ基の水素原子と同程度の酸性を示すため、テトラゾリル基はカルボキシ基の生物学的等価体(バイオアイソスター)であり、生体内でカルボキシ基と同等の性質を示す。
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3 誤
炭酸エステル部位の加水分解反応により、ジアセチル(Ⅲ)とCO2を生じる。
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4 誤
一般に、塩基性が高い化合物は、求核性が高くなる。メトホルミンは強い塩基性を示すグアニジノ基を有するため、高い求核性をもつ。
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5 正
メトホルミンとジアセチル(Ⅲ)との反応は、水分子を失いながら結合する脱水縮合反応である。
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問211 解答 4

オルメサルタン メドキソミル錠とメトホルミン塩酸塩錠の一包化による着色の原因は、メドキソミル基とグアニジノ基が高温多湿条件下で反応することである。したがって、本反応を起こさない対応が薬剤師に求められる。

1 適切
オルメサルタン メドキソミル錠とそれ以外の薬剤と別々に分包することで、本反応が起きず、変色が起きないため、適切な対応である。

2 適切
医薬品インタビューフォームなどを参考にし、一包化しても本反応が起きず、変色が起きないと考えられる日数で分割調剤することは、適切な対応である。なお、分割調剤は、14日分を超える投薬において、薬剤の保存が困難な場合に行うことができ、本処方は30日分であるため、分割調剤することが可能である。

3 適切
乾燥剤を入れた缶に保存するなどの、高温多湿な条件を回避する保管方法を行うことで、本反応が起きず、変色が起きないため、適切な対応である。

4 不適切
ビグアナイド系薬剤はグアニジノ基を有するため、メトホルミン塩酸塩錠を他のビグアナイド系薬剤に変更しても、本反応が起きて、変色が起きるため、不適切な対応である。なお、日本で使用されているビグアナイド系薬剤はメトホルミンとブホルミンの2種類である。
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5 適切
オルメサルタン メドキソミル錠を、メドキソミル基を持たない他の降圧剤に変更することで、本反応が起きず、変色が起きないため、適切な対応である。

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