平成24年度 第97回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 210,211

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問 210  正答率 : 69.5%
問 211  正答率 : 60.3%

 国家試験問題

国家試験問題
53歳男性。進行期パーキンソン病の患者。以下の薬剤が処方されている。
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問210(実務)
それぞれの薬剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 カルビドパは、レボドパの消化管吸収を高めるために配合されている。


2 エンタカポンは、パーキンソン病の症状の日内変動(wearing-off現象)を改善する。


3 ペルゴリドは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬と併用禁忌である。


4 アマンタジンは、抗A型インフルエンザ薬としても用いられる。


5 セレギリンの服用中は、必ず定期的に心エコー検査を行う。




問211(物理・化学・生物)
レボドパとその関連化合物に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
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1 レボドパの名称は(S)-3-(3,4-dihydroxyphenyl)valineである。


2 レボドパは副腎皮質でトリプトファンから合成される。


3 レボドパが脱炭酸されると、ドパミンが生じる。


4 ドパミンのベンジル位がヒドロキシ化されるとアドレナリンが生じる。


5 ノルアドレナリン及びアドレナリンを含む一部の生体アミンをフェノールアミンとよぶ。

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問 210    
問 211    

 e-REC解説

問210 解答 2、4

1 誤
カルビドパは、芳香族L−アミノ酸脱炭酸酵素阻害薬であり、末梢におけるレボドパの代謝を抑制し、レボドパの脳内移行量を増加させるために配合されている。

2 正
レボドパを長期投与していると、ほとんどの患者において、薬の効果が低下していると感じるようになり、この現象をwearing−off現象という。レボドパの効果が短くなることによって、薬が効いている時間帯と効いていない時間帯が生じ、1日の中で症状の変化(日内変動)が現れる。このようなwearing−off現象が現れた場合には、レボドパ製剤とレボドパの分解酵素であるCOMTを阻害しレボドパの効果を持続させるエンタカポンの併用療法などが行われる。

3 誤
ペルゴリドメシル酸塩と選択的セロトニン再取り込み阻害薬は併用禁忌ではない。なお、本処方に含まれるセレギリン塩酸塩と選択的セロトニン再取り込み阻害薬を併用するとセロトニン症候群(不安、震え、発熱など)が現れることがあるため、両薬剤は併用禁忌である。

4 正
アマンタジン塩酸塩は、パーキンソン病治療薬として用いられるほか、抗A型インフルエンザ薬として用いられる。

5 誤
セレギリン服用中は、定期的に心エコー検査を行う必要はない。なお、本処方に含まれるペルゴリドメシル酸塩服用中は、副作用として心臓弁膜症が生じる恐れがあるため、定期的に心エコー検査を行う必要がある。


問211 解答 3

1 誤
レボドパの名称は3-Hydroxy-L-tyrosineである。なお、レボドパをIUPAC名で表すと、(S)−2−amino−3−(3,4−dihydroxyphenyl)propanoic acidとなる。
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2 誤
レボドパは副腎髄質でL−チロシンから合成される。以下にL−チロシンからアドレナリンの生合成経路を以下に示す。
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3 正
解説2参照

4 誤
ドパミンのベンジル位がヒドロキシ化されるとノルアドレナリンが生じる(解説2参照)。

5 誤
ノルアドレナリン及びアドレナリンなどの生体内アミンは、構造中にカテコール骨格とアミンを有するためカテコールアミンといわれる。

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