平成31年度 第104回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 214,215

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問 214  正答率 : 87.1%
問 215  正答率 : 66.6%

 国家試験問題

国家試験問題
50歳女性。3ヶ月前から、ふくらはぎがつることで眠れないなどの症状が出たので、市販の漢方薬Aを服用していた。今回、両下腿浮腫が発現したので、近医を受診し、胸部レントゲン検査にて心拡大を認めたため入院となった。血圧160/64 mmHg、脈拍78回/分、血清カリウム値3.1 mEq/L。動脈血ガス検査にて代謝性アルカローシスを認めた。心電図は正常。心臓超音波検査にて、心機能正常だが心嚢液貯留を認めた。

問214(実務)
漢方薬Aはどれか。1つ選べ。

1 芍薬甘草湯


2 八味地黄丸


3 半夏厚朴湯


4 大建中湯


5 牛車腎気丸




問215(物理・化学・生物)
前問における漢方薬A服用後の症状の発現の原因となる生薬成分は、腸内細菌による加水分解を受けたのちに吸収される。加水分解後の化学構造はどれか。1つ選べ。

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問 214    
問 215    

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問214 解答 1

1 正
芍薬甘草湯は、急激に起こる筋肉のけいれんを伴う疼痛、筋肉・関節痛、胃痛、腹痛などに用いられる。本患者はふくらはぎがつる(こむら返り)などの症状に対し、芍薬甘草湯を服用していたと考えられる。

2 誤
八味地黄丸は、疲労、倦怠感著しく、尿量減少、頻尿、口渇があるものの下肢痛、腰痛、腎炎、糖尿病、前立腺肥大、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、頭重、耳鳴り)などに用いられる。

3 誤
半夏厚朴湯は、気分がふさいで、咽喉・食道部に異物感があり、時に動悸、めまい、嘔気などを伴う不安神経症(精神緊張・心労によるストレス)、神経性胃炎、つわり、咳、しわがれ声、不眠症などに用いられる。

4 誤
大建中湯は、腹が冷えて痛むものの下腹部痛、腹部膨満感に用いられる。

5 誤
牛車腎気丸は、疲れやすくて、四肢が冷えやすく尿量減少、頻尿、口渇があるものの下肢痛、腰痛、しびれ、むくみなどに用いられる。


問215 解答 5

本患者は、漢方薬A服用後に浮腫の発現、血圧上昇、血清カリウム値の低下、代謝性アルカローシスを認めていることから、偽アルドステロン症を起こしていると考えられる。これは漢方薬A(芍薬甘草湯)にシャクヤクとカンゾウが配合されており、カンゾウの成分であるグリチルリチン酸により偽アルドステロン症が発現したと考えられる。
カンゾウの成分であるグリチルリチン酸は、腸内細菌が産生するβ−グルクロニダーゼによりグリチルレチン酸に代謝される。
したがって、本問の化学構造のうち、偽アルドステロン症の発現の原因となる生薬成分(グリチルリチン酸)の腸内細菌による加水分解後の化学構造は、グリチルレチン酸(選択肢5)である。

1 誤
バイカレイン(baicalein)の構造である。 バイカレインは、配糖体であるバイカリン(baicalin)の加水分解により得られるフラボノイドである。また、バイカリンはシソ科植物コガネバナの周皮を除いた根を基原とするオウゴンに含まれる。

2 誤
ゲニピン(genipin)の構造である。ゲニピンは、配糖体であるゲニポシドを加水分解すると得られるイリドイドである。また、ゲニポシドはアカネ科植物クチナシの果実を基原とするサンシシに含まれる。

3 誤
サントニン(α−santonin)の構造である。サントニンは、キク科植物ミブヨモギのつぼみを基原とするシナカに含まれるセスキテルペンである。

4 誤
ウルソデオキシコール酸(ursodeoxycholic acid)の構造である。ウルソデオキシコール酸は、クマ科動物Ursus arctosなどの胆汁を乾燥したユウタンに含まれる胆汁酸である。

5 正

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