平成25年度 第98回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 214,215

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問 214  正答率 : 38.6%
問 215  正答率 : 30.2%

 国家試験問題

国家試験問題
2012年5月、利根川水系の各浄水場の水質検査で国の基準をはるかに超える化学物質としてホルムアルデヒドが検出された。

問214(実務)
ホルムアルデヒドの検出・定量は、ペンタフルオロベンジルヒドロキシルアミン(A)と反応させ、生じた化合物(B)に対して行う。Bの分析法として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
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1 非競合型イムノアッセイ法


2 ガスクロマトグラフ−質量分析法


3 原子吸光光度法


4 示差熱分析法


5 紫外可視分光光度法




問215(物理・化学・生物)
今回の水質異常の原因物質であり、加水分解によりホルムアルデヒドを発生する化合物はどれか。1つ選べ。
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問 214    
問 215    

 e-REC解説

問214 解答 2

河川の微量成分の分析に関する問題である。

1 誤
非競合型イムノアッセイ法は、抗原と抗体の反応を利用して血清や尿などに含まれる微量物質を測定する生化学的試験である。

2 正
ガスクロマトグラフ−質量分析法(GC/MS)は、混合物中の微量有機物の同定・定量に適した分析手法である。化合物Bのような比較的低分子の有機化合物の定性・定量に適している。原理としては、混合物を気体(ガス)にしクロマトグラフィー法を用いて成分を分離する。分離した単一成分についてマススペクトルを測定することで成分の定性が行える。また、クロマトグラムのピーク強度により定量できる。

3 誤
原子吸光光度法は、特定の元素に対し高い選択性を示すため、無機質分析に利用される。試料を原子化し、そこに光を透過して吸収スペクトルを測定することで、試料中の元素の同定および定量を行うものである。工場排水などの水溶液中に含まれる微量元素の検出などに用いられる。

4 誤
示差熱分析法は、測定試料と基準物質との間の熱量の差を計測することで、ガラス転移点などを測定する熱分析の手法である。固体試料純度の評価やポリマー硬化の測定などの品質管理の目的で広く用いられている。

5 誤
多くの化合物は可視光あるいは紫外光を吸収する。その化合物がよく吸収する波長の光を当て、光が透過した割合(透過率)を測定する方法を紫外・可視吸光光度法という。試料は一般に溶液にして測定する。化合物Bが特異的に吸収する波長があればこの方法でも検出・定量できると考えられるが、他の化合物による影響を考えると2の方法の方が最適であると判断できる。


問215 解答 5

含窒素化合物の加水分解に関する問題である。同一の炭素原子に窒素原子が2つ以上結合している活性メチレン基(N−CH2−N)(2と5)は、加水分解を受けやすい。1,3,4は活性メチレン基が存在しないので加水分解されない。2はイミン(−C=N−)の構造を持っているので、以下のようにアミドとアミンに加水分解されるがホルムアルデヒドは生成しない。5は活性メチレン基を持ったアミンであり、加水分解によりカルボニル化合物(ケトン、アルデヒド)とアミンへと分解する。さらに活性メチレン基を6つ持っているため加水分解が6箇所で起こり、6分子のホルムアルデヒドと4分子のアンモニアとなる。したがって、ホルムアルデヒドを生成する化合物は5である。
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