平成27年度 第100回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 218,219

Pin Off  未ブックマーク   
問 218  正答率 : 62.7%
問 219  正答率 : 53.7%

 国家試験問題

国家試験問題
77歳男性。163 cm、65.0 kg、body mass index (BMI) 24.5。現在、糖尿病治療のため、下記の薬剤を服用している。
スクリーンショット 2016-07-09 9.31.32.png
これまで、HbA1c(国際標準値)は7.0%前後で推移していたが、最近になり9.0%まで上昇したため、以下の処方が追加された。
スクリーンショット 2016-07-09 9.31.39.png

問218(実務)
上記の追加処方に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 低血糖のリスクは、特にスルホニルウレア剤との併用により増加するおそれがある。


2 併用により低血糖が起こった場合には、砂糖を摂取するように患者に伝える。


3 ボグリボースとの併用は禁忌なので、疑義照会が必要である。


4 飲み忘れを防止するために、食後服用への変更も可能である。




問219(物理・化学・生物)
糖尿病では血糖値の異常が起こる。グルコース代謝に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 血糖値は、筋肉から血中へグルコースが放出されることにより、維持される。
2 インスリンは、血液から筋肉へのグルコースの取り込みを促進させ、血糖値を低下させる。
3 筋肉中で嫌気的代謝により生成した乳酸は、肝臓に運ばれてグルコースに変換される。
4 飢餓時には、肝臓でタンパク質が分解され、生成したアラニンが筋肉へ運ばれてグルコースに変換される。

5 筋肉でのグリコーゲンの合成と分解は、肝臓とは異なり、同一の酵素によって触媒される。

 解説動画作成を要望!

 解答を選択

問 218    
問 219    

 e-REC解説

問218 解答 1、4

1 正
アログリプチン安息香酸塩錠とスルホニルウレア(SU)剤やインスリン製剤等の糖尿病治療薬を併用すると、低血糖のリスクが増加するおそれがあるため、アログリプチン安息香酸錠と他の糖尿病治療薬は併用注意の組合せとなっている。

2 誤
本患者は、α−グルコシダーゼ阻害薬であるボグリボース錠を服用していることから、アログリプチン安息香酸錠の併用により低血糖が起こった場合には、ブドウ糖を摂取するように患者に伝える必要がある。

3 誤
アログリプチン安息香酸塩錠とα−グルコシダーゼ阻害薬であるボグリボース錠を併用すると、低血糖を発現するおそれがあるため、両薬剤は併用注意の組合せとなっている。

4 正
アログリプチン安息香酸塩錠は、通常、成人では、1日1回服用することとなっているため、飲み忘れを防止するために、食前服用を食後服用へ変更することが可能である。


問219 解答 2、3

1 誤
筋肉ではグルコース6−ホスファターゼの活性が低いため、グリコーゲンより生じたグルコース6−リン酸からグルコースを生成することはできない。よって、筋肉においてグリコーゲンが分解されてもグルコースが血液中に放出されることはない。

2 正
インスリンは、チロシンキナーゼ型のインスリン受容体に結合して、筋細胞におけるグルコース輸送担体(GLUT4)を発現させ、血液から筋肉へのグルコースの取り込みを促進し、血糖値を低下させる。

3 正
筋肉中で嫌気的代謝により生成した乳酸は、血液中に放出され、肝臓に運ばれて糖新生によりグルコースに変換される。

4 誤
飢餓時には、筋肉でタンパク質が分解され、生成したアラニンが肝臓へ運ばれて糖新生によりグルコースに変換される。

5 誤
筋肉及び肝臓で行われるグリコーゲンの合成と分解は、異なる酵素によって触媒される。グリコーゲンの合成を触媒する酵素には、グリコーゲンシンターゼがあり、グリコーゲンの分解を触媒する酵素には、グリコーゲンホスホリラーゼがある。

 Myメモ - 0 / 1,000

e-REC 過去問解説システム上の [ 解説 ] , [ 解説動画 ] に掲載されている画像・映像・文章など、無断で複製・利用・転載する事は一切禁止いたします