令和05年度 第108回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 218,219

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問 218  正答率 : 71.5%
問 219  正答率 : 54.6%

 国家試験問題

国家試験問題
85歳男性。中等度の認知症及び高血圧症の治療中。部屋の中ではつたい歩きができるが、活動量が低下し、家に引きこもりがちである。今回、腰痛を訴え整形外科を受診したところ、骨粗しょう症と診断された。整形外科受診時の検査値、現在服用中の薬剤は以下のとおりである。なお、肝機能に異常はない。

(身体所見及び検査値)
骨密度65%、血圧128/80 mmHg、身長168 cm、体重62 kg、
血清クレアチニン0.9 mg/dL、Ca 9.0 mg/dL(基準値8.0〜10.4 mg/dL)、
血清25−ヒドロキシビタミンD 8 ng/mL(20 ng/mL以下は欠乏とみなす)

スクリーンショット 2023-07-21 11.45.07.png

問218(実務)
この患者の骨粗しょう症治療に用いる薬剤として、適切なのはどれか。2つ選べ。

1 アレンドロン酸錠


2 ブシラミン錠


3 ラロキシフェン塩酸塩錠


4 L−アスパラギン酸Ca錠


5 エルデカルシトールカプセル




問219(物理・化学・生物)
本患者が血液検査で測定した25−ヒドロキシビタミンDに含まれる25(OH)ビタミンD3は、下図に示すように、プロビタミンD3から反応A、Bを経て作られ、反応C、Dで代謝される。以下の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

スクリーンショット 2023-07-21 11.46.06.png

1 プロビタミンD3は、生体内で合成されない。


2 紫外線を浴びた皮膚で進行する反応は、Bである。


3 副甲状腺ホルモン(パラトルモン)によって促進される反応は、Dである。


4 活性型ビタミンD3は、25(OH)ビタミンD3である。


5 活性型ビタミンD3は、最終的に腎臓で生成される。

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問 218    
問 219    

 e-REC解説

問218 解答 1、5

1 正
アレンドロン酸は骨粗しょう症治療薬(ビスホスネート製剤)であり、本患者の骨粗しょう症の治療に用いられる。

2 誤
ブシラミンは関節リウマチの治療薬であり、骨粗しょう症の治療には用いられない。

3 誤
ラロキシフェン塩酸塩は骨粗しょう症治療薬(選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM))であり、閉経後骨粗しょう症に用いられるが、本患者のような男性の骨粗しょう症の治療には用いられない。

4 誤
L−アスパラギン酸Caは骨粗しょう症治療薬(カルシウム製剤)であり、骨粗しょう症におけるカルシウム補給に用いられるが、本患者の血清カルシウム値は正常であるため、本患者の骨粗しょう症の治療に優先的に用いられない。

5 正
エルデカルシトールは、骨粗しょう症治療薬(活性型ビタミンD3製剤)であり、ビタミンDが欠乏している本患者の骨粗しょう症の治療に用いられる。


問219 解答 3、5

ビタミンD3の合成及び活性化を以下に示す。

スクリーンショット 2023-07-21 11.43.31.png

コレステロール合成の中間体であるプロビタミンD3(7−デヒドロコレステロール)は、皮膚において紫外線の作用により、ステロール環のC-C結合が切断され、ビタミンD3(コレカルシフェロール)となる(反応A)。その後、ビタミンD3は、肝臓でヒドロキシ化され、25(OH)ビタミンD3となる(反応B)。
25(OH)ビタミンD3は、血中カルシウム濃度が低い場合、副甲状腺ホルモン(パラトルモン)刺激により活性化された1α−ヒドロキシラーゼによって、活性型ビタミンD3である1,25(OH)2ビタミンD3となる(反応D)。なお、血中カルシウム濃度が高い場合、24−ヒドロキシラーゼによって、不活性型ビタミンD3である24,25(OH)2ビタミンD3となる(反応C)。

1 誤
プロビタミンD3(7−デヒドロコレステロール)は生体内で合成される。

2 誤
紫外線を浴びた皮膚で進行する反応は、Aである。

3 正
副甲状腺ホルモン(パラトルモン)は、1α−ヒドロキシラーゼを活性化することで、腎臓における反応Dを促進する。

4 誤
活性型ビタミンD3は、1,25(OH)2ビタミンD3である。

5 正
活性型ビタミンD3は、最終的に腎臓で生成される。

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