平成24年度 第97回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 218,219

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問 218  正答率 : 66.9%
問 219  正答率 : 35.4%

 国家試験問題

国家試験問題
50歳男性。脳梗塞後の再発予防のため、以下の薬剤が処方された。
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問218(実務)
この患者に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。

1 脳梗塞の発症には、高血圧、糖尿病、脂質異常症、心房細動、喫煙、多量の飲酒などが危険因子となる。


2 患者に、通常よりも出血しやすくなることを説明し、異常な出血が認められた場合には医師に連絡するよう注意を促す。


3 他院(他科)を受診する際には、本剤を服用していることを医師に必ず伝えるよう患者に注意を促す。


4 プロスタグランジンE1製剤の併用は、出血を助長することがある。


5 オメプラゾールの併用は、シロスタゾールの作用を減弱することがある。




問219(物理・化学・生物)
脳梗塞の発症には、生体の止血機構が関わっている。止血機構に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 血小板から放出されるトロンボキサンA2により、血管平滑筋が収縮する。


2 血小板内のサイクリックAMP(cAMP)量が増加すると、血小板凝集が促進される。


3 血小板が活性化されると、主な生理活性物質としてヒスタミン及び血小板活性化因子(PAF)が放出される。


4 血管内皮細胞で産生されたプロスタグランジンI2の作用により、強固な血小板血栓が形成される。


5 血小板血栓の周囲でフィブリノーゲンからフィブリンが形成され、血液凝固が進行する。

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問 218    
問 219    

 e-REC解説

問218 解答 5

1 正しい
脳梗塞には、アテローム性血栓性脳梗塞や心原性脳塞栓症などがある。アテローム性血栓性脳梗塞の主な危険因子は、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙などであり、心原性脳塞栓症の主な危険因子は、心疾患(心房細動など)などである。

2 正しい
シロスタゾールは、血小板凝集抑制薬であるため、本剤を服用中の患者には、通常よりも出血しやすくなることを説明し、異常な出血が認められた場合には医師に連絡するよう注意を促す必要がある。

3 正しい
シロスタゾールは、血小板凝集抑制薬であるため、本剤を服用中の患者が手術や抜歯など出血を伴う治療を受ける場合、注意が必要である。よって、他院(他科)を受診する際には、本剤を服用していることを医師に必ず伝えるよう患者に注意を促す必要がある。

4 正しい
シロスタゾール及びプロスタグランジンE1製剤は共に血小板凝集抑制作用を有するため、両剤を併用することにより、出血を助長することがある。

5 誤っている
シロスタゾールは主にCYP3A4及び一部CYP2D6、CYP2C19で代謝されるため、CYP2C19阻害作用を有するオメプラゾールと併用すると、血中濃度が上昇し、作用が増強することがある。


問219 解答 1、5

1 正
血小板から放出されるトロンボキサンA2(TXA2)により、血管平滑筋収縮、気管支平滑筋収縮、血小板凝集促進などの生理作用が現れる。

2 誤
血小板内のサイクリックAMP(cAMP)量が増加すると、細胞内のCa2+量が減少する。それにより、血小板凝集促進因子であるセロトニン、ADPなどの遊離が抑制され、血小板凝集が抑制される。

3 誤
血小板が活性化されると、主な生理活性物質として、TXA2、セロトニン、ADP、血小板活性化因子(PAF)などが放出される。なお、血小板が活性化されてもヒスタミンは放出されない。

4 誤
血管内皮細胞で産生されたプロスタグランジンI2は、血小板内のサイクリックAMP(cAMP)量を増加させ、血小板凝集を抑制する。

5 正
血小板血栓の周辺では、トロンビンの作用によりフィブリノーゲンからフィブリンが形成され、血液凝固が進行する。

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