平成24年度 第97回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 220,221

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問 220  正答率 : 66.7%
問 221  正答率 : 84.5%

 国家試験問題

国家試験問題
ヒトの血糖及びその調節に関する以下の問に答えよ。

問220(物理・化学・生物)
糖代謝に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。

1 血液中のD—グルコースは、脳の活動にとって必須の物質である。


2 筋肉で生成した乳酸は、肝臓に運ばれてD—グルコースへと変換される。


3 グリコーゲンは、UDP−グルコースを基質とし、グリコーゲンシンターゼの作用により合成される。


4 筋肉では、グリコーゲンが分解され、血液中にD—グルコースが放出される。


5 アドレナリン(エピネフリン)により、肝臓から血液中へのD—グルコースの放出が促進される。




問221(実務)
高血糖の患者の症状を悪化させる可能性のある薬物はどれか。2つ選べ。

1 メトトレキサート


2 クエチアピンフマル酸塩


3 プレドニゾロン


4 ランソプラゾール


5 ビルダグリプチン

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問 220    
問 221    

 e-REC解説

問220 解答 4

1 正しい
D—グルコースは、脳の活動にとって必須の物質である。血液中のD—グルコースが低下すると、脳の機能不全が現れ、昏睡や死を招くことがある。

2 正しい
筋肉にはグルコース−6−ホスファターゼが存在しないため、筋肉内で乳酸からD—グルコースを生成することはできない。よって、筋肉内で生成した乳酸は、血液を介して肝臓に運ばれてD—グルコースに変換され、再び筋肉に運ばれエネルギー源として利用される。

3 正しい
動物の貯蔵多糖であるグリコーゲンは、グルコースがグルコース−6−リン酸、グルコース−1−リン酸を経て、UDP−グルコースに活性化されて、グリコーゲンシンターゼが働くことで合成される。

4 誤っている
筋肉では、グリコーゲンが分解して生成するグルコース6−リン酸をグルコースに変換するグルコース−6−ホスファターゼが存在しないため、グリコーゲンをD−グルコースに変換することはできない。なお、肝臓や腎臓では、グルコース−6−ホスファターゼが存在するため、グリコーゲンをD—グルコースに変換することが可能である。

5 正しい
アドレナリンは、肝臓に存在するβ2受容体を刺激し、グリコーゲンホスホリラーゼを活性化し、グリコーゲンからD−グルコースの生成を促進する。


問221 解答 2、3

高血糖の患者の症状を悪化させる可能性のある薬物は、クエチアピンフマル酸塩及びプレドニゾロンである。なお、クエチアピンフマル酸塩については、添付文書の警告に「著しい血糖値の上昇から、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡等の重大な副作用が発現し、死亡に至る場合があるので、本剤投与中は、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと。」と記載されている。

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