平成25年度 第98回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 220,221

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問 220  正答率 : 47.5%
問 221  正答率 : 68.8%

 国家試験問題

国家試験問題
45歳男性。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)による感染症のため、以下の薬剤が処方された。
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問220(物理・化学・生物)
処方されたテイコプラニンは、細菌細胞壁ペプチドグリカンの合成阻害によりMRSAに対して抗菌作用を示す。ペプチドグリカンに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 グラム陽性菌に特有の構造体であり、グラム陰性菌には存在しない。


2 N−アセチルムラミン酸のホモポリマー及びペプチドから構成され、網目構造を形成する。


3 細胞膜の内側に層状構造で存在する。


4 細菌の形態維持及び浸透圧からの菌体保護の役割をもつ。


5 涙や鼻汁に含まれるリゾチームにより分解される。




問221(実務)
テイコプラニンの使用上の注意に関する記述のうち、適切でないのはどれか。1つ選べ。

1 腎障害を引き起こす可能性のある薬剤との併用を避けることが望ましい。


2 MRSA感染症以外への適応は認められていない。


3 投与開始後24時間までの累積尿中排泄率は約30%であるため、腎機能に応じた投与量の調節は必要ない。


4 投与期間中は、血中濃度をモニタリングすることが望ましい。


5 30分以上かけて緩徐に点滴静注することが推奨されている。

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問 220    
問 221    

 e-REC解説

問220 解答 4、5

1 誤
ペプチドグリカンは、グラム陽性菌とグラム陰性菌のどちらも有する構造であり、グラム陽性菌は厚いペプチドグリカン層、グラム陰性菌は薄いペプチドグリカン層を有する。

2 誤
N−アセチルムラミン酸とN−アセチルグルコサミンのヘテロポリマー及びペプチドから構成され、網目構造を形成する。

3 誤
細胞壁ペプチドグリカンは、細胞膜の表面を覆うように細胞膜の外側に層状構造で存在する。

4 正
ペプチドグリカンは、細菌の形態維持や高い浸透圧に起因する細胞の破壊からの防御的役割などをもつ。

5 正
リゾチームは、涙や唾液に含まれる加水分解酵素であり、N−アセチルムラミン酸とN−アセチルグルコサミンのβ(1→4)結合を加水分解する。


問221 解答 3

1 適切
テイコプラニンは腎消失型薬物であり、他の腎障害を引き起こす可能性のある薬物との併用は避けることが望ましい。

2 適切
テイコプラニンは、MRSA感染症以外の感染症への使用は認められていない。

3 不適切
テイコプラニンは腎消失型薬物であり、腎障害の患者では排泄が遅延し、血中半減期が延長する。

4 適切
本剤投与中は、腎障害や聴力障害などの副作用が生じる恐れがあるため、血中濃度をモニタリングすることが好ましい。

5 適切
テイコプラニンの急速静注による副作用として、ショック及びレッドマン症候群(顔、頸、躯幹の紅斑性充血、そう痒感等)が報告されているため、本剤の使用にあたっては30分以上かけて点滴静注することが推奨されている。

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