令和05年度 第108回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 222,223

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問 222  正答率 : 67.2%
問 223  正答率 : 43.4%

 国家試験問題

国家試験問題
52歳男性。中枢性尿崩症の診断を受け、以下の薬剤による治療が開始となった。

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問222(実務)
この患者への服薬指導として、誤っているのはどれか。1つ選べ。

1 使用前に鼻をかんでから使用してください。


2 使用時、左右の鼻腔に交互にスプレーしてください。


3 スプレー時には、息を深く吸ってください。


4 使用中は、医師より指示された飲水量を守ってください。


5 冷蔵庫に容器を立てた状態で保管してください。




問223(物理・化学・生物)
処方薬は、この患者で不足しているホルモンの作用を補う目的で使われている。そのホルモンに関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 ジスルフィド結合で架橋されたA、B鎖からなるポリペプチドである。


2 視床下部ホルモンの刺激により、下垂体前葉の細胞で産生される。


3 心臓に作用し、グアニル酸シクラーゼを活性化して、血圧を低下させる。


4 血管平滑筋細胞に作用し、ホスホリパーゼCを活性化して、血管を収縮させる。


5 腎集合管の細胞に作用し、プロテインキナーゼAを活性化して、水の再吸収を促進する。

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問 222    
問 223    

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問222 解答 3

1 正しい
本剤投与時は、鼻腔内投与後の鼻粘膜からの吸収を安定させるため、使用まえに鼻をかむよう指導する。

2 正しい
本剤は、スプレー回数が複数の場合は、左右の鼻腔に交互にスプレーするよう指導する。

3 誤っている
本剤のスプレー時は、鼻粘膜からの吸収を目的としているため、頭を少し後に傾け、息を止めて鼻腔内にスプレーする。スプレー後は、頭を少し後に傾けた状態で軽く鼻を押さえ、鼻から静かに息を吸うよう指導する。

4 正しい
本剤投与中は、抗利尿作用により水中毒症状(脳浮腫、昏睡、痙れんなど)を来す可能性があるため、過度な飲水は避け、医師より指示された飲水量を守るよう指導する。

5 正しい
本剤は、液漏れを防ぐために、冷蔵庫に容器を立てた状態で保管するよう指導する。


問223 解答 4、5

デスモプレシン点鼻スプレー2.5 µgは、中枢性尿崩症により不足しているバソプレシンの作用を補う目的で処方されている。バソプレシンは、血管平滑筋細胞に存在するバソプレシンV1受容体(Gqタンパク質共役型受容体)に作用し、ホスホリパーゼCを活性化することで血管を収縮させるほか、腎臓の集合管に存在するバソプレシンV2受容体に作用し、プロテインキナーゼAを活性化することで抗利尿作用を示す。

1 誤
バソプレシンは9個のアミノ酸からなり、1番目と6番目のシステイン(Cys)との間に1本のジスルフィド結合を持つペプチドホルモンである。なお、ジスルフィド結合で架橋されたA、B鎖からなるポリペプチドは、インスリンである。

2 誤
バソプレシンは、視床下部で産生され、下垂体後葉において貯蔵・分泌される。なお、視床下部ホルモンの刺激により、下垂体前葉の細胞で産生されるホルモンは、副腎皮質刺激ホルモンや甲状腺刺激ホルモンなどである。

3 誤
バソプレシンは、血管平滑筋細胞に存在するバソプレシンV1受容体(Gqタンパク質共役型受容体)に作用し、ホスホリパーゼCを活性化することで血管を収縮させる(前記参照)。なお、グアニル酸シクラーゼを活性化することで血圧を低下させるホルモンは、心房性ナトリウム利尿ペプチドである。

4 正
前記参照

5 正
前記参照

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