令和03年度 第106回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 224,225

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問 224  正答率 : 78.1%
問 225  正答率 : 51.4%

 国家試験問題

国家試験問題
問224〜225
65歳男性。身長170 cm、体重65kg。eGFRは42 mL/min/1.73 m2である。悪性リンパ腫のため、R−CHOP療法(リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン)の1コース目を施行したところ、7日後に38℃の発熱がみられた。その際の検査値は次のとおりであった。

赤血球数 350×104/µL、Hb 11.2 g/dL、Ht 32%、白血球数 480/µL(好中球 63%、好酸球 6%、好塩基球 2%、単球 14%、リンパ球 15%)、血小板数 9.8×104/µL、CRP 5.0 mg/dL

そこで、主治医は2コース目のR−CHOP療法を施行するにあたり、1コース目と同じ症状が現れた際に、フィルグラスチムを併用することを検討している。

問224(物理・化学・生物)
フィルグラスチムを検討する理由として、正しいのはどれか。1つ選べ。

1 骨髄での赤血球への分化を促し、R−CHOP療法の副作用である貧血を防ぐ。


2 血液中の血小板の破壊を抑制し、打撲等による出血を防ぐ。


3 骨髄での好中球への分化を促し、細菌感染を防ぐ。


4 骨髄での好酸球への分化を抑制し、アレルギーの発症を防ぐ。


5 肝臓でのCRPの産生を抑制し、過剰な炎症を抑える。




問225(実務)
本症例にフィルグラスチムが処方された際の注意点として正しいのはどれか。2つ選べ。

1 R−CHOP療法施行の前日に、1日1回皮下注する。


2 R−CHOP療法施行の翌日以降、1回24時間の持続静注を開始する。


3 R−CHOP療法施行の翌日以降、1日1回皮下注を開始する。


4 副作用として骨痛や腰痛等が現れた場合は、非麻薬性鎮痛薬を投与する。


5 本症例は腎機能が低下しているため、投与量を減量する必要がある。

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問 224    
問 225    

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問224 解答 3

フィルグラスチムは顆粒球−コロニー刺激因子(G−CSF)製剤であり、がん化学療法による好中球減少症やヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の治療に支障を来す好中球減少症、再生不良性貧血に伴う好中球減少症などに用いられる。本症例において、R−CHOP療法(リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン)の1コース目を施行した際の検査値として、白血球数が480/µL(正常値:4,000〜10,000/µL)と低下していることから、がん化学療法に伴う好中球減少症が生じたと考えられる。よって2コース目のR−CHOP療法を施行するにあたり、同様の状況が起きないようにフィルグラスチムの処方が検討されている判断できる。


問225 解答 3、4

1 誤
悪性リンパ腫に対するがん化学療法による好中球減少症に対して、フィルグラスチムを用いる場合、通常、がん化学療法終了後(翌日以降)から、50 µg/m2を1日1回皮下投与する。なお、出血傾向等により皮下投与が困難な場合は、100 µg/m2を1日1回静脈内投与(点滴静注含む)する。

2 誤
解説1参照

3 正
解説1参照

4 正
フィルグラスチム投与により骨痛、腰痛等が起こることがあるので、このような場合には非麻薬性鎮痛剤を投与するなど適切な処置を行うこととされている。

5 誤
フィルグラスチムを高齢者に用いる際は、一般に生理機能(造血機能、肝機能、腎機能)が低下していることを踏まえ、用量並びに投与間隔に留意するなど、患者の状態を観察しながら慎重に投与することとされている。したがって、腎機能低下者に対する投与量の減量は、必ずしも必要ではない。

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