令和02年度 第105回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 230,231

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問 230  正答率 : 80.6%
問 231  正答率 : 71.2%

 国家試験問題

国家試験問題
ジアゼパム錠を常用している32歳女性患者から主治医に、妊娠と薬の服用について相談があった。相談を受けた医師がジアゼパム錠の添付文書を確認したところ、次の記載があった。
スクリーンショット 2020-06-29 12.22.54.png
医師は、この記載の下線部の根拠についてさらに詳細な情報を得るため、医薬品情報室の薬剤師に相談した。薬剤師は、妊娠中のベンゾジアゼピン系薬剤の服用と胎児の奇形発生の関係に関する論文を検索した。

問230(衛生)
薬剤師が検索した論文の1つに下表が掲載されていた。このデータから計算されるベンゾジアゼピン系薬剤の服用による奇形発生のオッズ比として最も近い値はどれか。1つ選べ。
スクリーンショット 2020-06-29 12.24.25.png

1 0.4


2 1.8


3 2.6


4 3.4


5 34




問231(実務)
薬剤師が医師に情報提供を行うため、さらに論文を検索した結果、下図を含む別の論文を見出した。この図に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

スクリーンショット 2020-06-29 12.26.33.png

1 この図のような解析をシステマティックレビューという。


2 この図はファンネルプロットとよばれる。


3 コホート研究A〜Gを統合した結果から、この薬剤を服用すると、奇形発生のリスクが統計学的に有意に低くなることがわかる。


4 この図のJの結果だけでは薬剤服用と奇形発生との関係について明確な結論を出すことができない。


5 症例対照研究H〜Kを統合した結果から、この薬剤を服用すると、奇形発生のリスクが統計学的に有意に高くなることがわかる。

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問 230    
問 231    

 e-REC解説

問230 解答 3

オッズ比は、相対危険度の近似値であり、要因の罹患に対する影響を考慮する際に用いる尺度である。なお、以下のように求められる。

スクリーンショット 2020-06-29 12.29.41.png


問231 解答 4、5

1 誤
本問の図はフォレストプロットとよばれ、個々の研究と統合結果をグラフ化し、メタアナリシスの結果を示す際に用いられる。なお、システマティックレビューとは、研究を網羅的に調査し、同質の研究をまとめ、バイアスを評価しながら分析・統合を行うことである。

2 誤
解説1参照。なお、ファンネルプロットとは、システマティックレビューやメタアナリシスに生じる出版バイアスの有無を評価するために用いられる図である。

3 誤
コホート研究A〜Gを統合した結果が表すひし形の95%信頼区間が1をまたいでいることから、ベンゾジアゼピン系薬剤の使用により奇形発生のリスクが統計的に有意に低くなるとはいえない。

4 正
Jの結果を見ると、95%信頼区間が1をまたいでいることから、ベンゾジアゼピン系薬剤の使用による奇形発生のリスクに有意な結果が示せない。よってJの結果だけでは薬剤服用と奇形発生との関係について明確な結論を出すことができない。

5 正
症例対照研究H〜Kを統合した結果が表すひし形の95%信頼区間が1をまたいでおらず、かつオッズ比が1より大きいことから、ベンゾジアゼピン系薬剤の使用により奇形発生のリスクが統計的に有意に高くなるといえる。

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