令和06年度 第109回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 230,231

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問 230  正答率 : 58.9%
問 231  正答率 : 59.2%

 国家試験問題

国家試験問題
56歳男性。30歳から印刷会社に勤務している。6ヶ月ごとに実施される特定化学物質健康診断を受診したところ、第一次検査の結果は以下のとおりであった。

（第一次検査の検査値）
身長165 cm、体重62.5 kg、体温36.6℃、血圧122/83 mmHg、
脈拍76拍／分、AST 40 IU/L、ALT 46 IU/L、γ−GTP 95 IU/L

第二次検査として、腹部の超音波による検査等の画像検査、呼気中の一酸化炭素量の測定、血清間接ビリルビン及び血液中の腫瘍マーカーの検査を受けた。

（第二次検査の検査値（一部抜粋））
血清間接ビリルビン 0.97 mg/dL（総ビリルビン1.81 mg/dL、直接ビリルビン0.84 mg/dL)、
胆道がんの腫瘍マーカー陽性

画像検査で胆道に腫瘍が見つかった。

問230（実務）
本症例で陽性となった胆道がんの腫瘍マーカーはどれか。１つ選べ。

１　NSE（neuron specific enolase）


２　PSA（prostate specific antigen）


３　CYFRA 21−1（cytokeratin 19 fragment antigen）


４　CA 19−9（carbohydrate antigen 19−9）


５　SCC抗原（squamous cell carcinoma related antigen）




問231（衛生）
この男性は第二次検査の結果から、最終的に胆道がんと診断された。その原因となった可能性が高いと考えられる化学物質はどれか。２つ選べ。

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問 231    
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問230　解答　４

１　誤
NSE（neuron specific enolase）は、小細胞肺がんで陽性となる腫瘍マーカーである。

２　誤
PSA（prostate specific antigen）は、前立腺がんで陽性となる腫瘍マーカーである。

３　誤
CYFRA 21−1（cytokeratin 19 fragment antigen）は、非小細胞肺がんで陽性となる腫瘍マーカーである。

４　正
CA 19−9（carbohydrate antigen 19−9）は、胆管がん、膵がんなどの消化器系がんで陽性となる腫瘍マーカーである。

５　誤
SCC抗原（squamous cell carcinoma related antigen）は、食道がんや子宮頸がんなどの扁平上皮がんで陽性となる腫瘍マーカーである。


問231　解答　１、３

１　正
ジクロロメタンの構造である。ジクロロメタンは、印刷機の洗浄剤として用いられ、胆道がんを引き起こす。

２　誤
O-トルイジンの構造である。O-トルイジンは、染料の原料として用いられ、膀胱がんを引き起こす。

３　正
1,2-ジクロロプロパンの構造である。1,2-ジクロロプロパンは、印刷機の洗浄剤として用いられ、胆道がんを引き起こす。

４　誤
3,3´-ジクロロ-4,4´-ジアミノジフェニルメタン（MOCA）の構造である。MOCAは、防水剤などに利用されるウレタン樹脂の硬化剤として用いられ、膀胱がんを引き起こす。

５　誤
ジクロルボスの構造である。ジクロルボスは、有機リン系農薬であり、コリンエステラーゼを不可逆に阻害する。

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