令和02年度 第105回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 234,235

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問 234  正答率 : 68.0%
問 235  正答率 : 73.0%

 国家試験問題

国家試験問題
ある新人薬剤師が、性的接触を介して感染する感染症と診断された患者に処方された薬剤の調剤を何例か経験したため、この感染症に関する情報を調べた。我が国において、この感染症は異性間よりも同性間の性的接触による感染の方が多く、また、症状が進行した場合はニューモシスチス肺炎やカンジダ症を合併することが分かった。

問234(衛生)
我が国におけるこの感染症の男女別の発生動向を示した図はどれか。1つ選べ。

スクリーンショット 2020-06-29 12.48.04.png


問235(実務)
この感染症の治療薬に含まれる成分として正しいのはどれか。1つ選べ。

1 バラシクロビル塩酸塩水和物


2 アジスロマイシン水和物


3 ミノサイクリン塩酸塩


4 エルビテグラビル


5 ソホスブビル

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問 234    
問 235    

 e-REC解説

問234 解答 1

問題文「この感染症は異性間よりも同性間の性的接触による感染の方が多く、また、症状が進行した場合はニューモシスチス肺炎やカンジダ症を合併することが分かった」より、本問の感染症はHIV感染症であると推測できる。
HIV感染症は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)における感染症発生動向調査において、全数把握対象疾患である。
我が国におけるHIV感染症の患者数は、男性が女性よりも圧倒的に多い。また、年次推移でみると、女性の患者数は横ばいであるのに対し、男性の患者数は2000〜2008年は増加傾向にあり、それ以降は横ばいである。
したがって、我が国におけるこの感染症(HIV感染症)の男女別の発生動向を示した図は、縦軸が患者数(全数把握)であり、かつ、男性患者数が女性患者数よりも圧倒的に多い選択肢1が正答となる。
なお、選択肢2は性器クラミジア感染症、選択肢3は性器ヘルペス感染症、選択肢4は淋菌感染症、選択肢5は梅毒の発生動向の図である。


問235 解答 4

前問の感染症(HIV感染症)の治療薬に含まれる成分は、エルビテグラビルである(選択肢1)。エルビテグラビルは、インテグラーゼの阻害により,HIV−DNAの宿主DNAへの組み込みを抑え、HIV−1プロウイルスの形成及びウイルス増殖を阻止することにより抗HIV作用を示す。

1 誤
バラシクロビル塩酸塩水和物は、抗ヘルペスウイルス薬であり、体内でアシクロビルに変換され、感染細胞内でウイルス由来のチミジンキナーゼによりリン酸化され活性体のアシクロビル三リン酸となり、dGTPと競合しDNAポリメラーゼを阻害することで、ウイルスのDNA合成を抑制する。

2 誤
アジスロマイシン水和物は、マクロライド系抗生物質であり、細菌リボソーム50Sサブユニットに結合し、タンパク質合成を阻害することで抗菌作用を示す。

3 誤
ミノサイクリン塩酸塩は、テトラサイクリン系抗生物質であり、70Sリボソームの30Sサブユニットに結合することで、細菌のタンパク質合成を阻害することで抗菌作用を示す。

4 正
前記参照

5 誤
ソホスブビルは、C型肝炎ウイルス(HCV)感染症治療薬であり、体内で活性化されNS5B(非構造タンパク質5B)RNA依存性RNAポリメラーゼを阻害することでC型肝炎ウイルス(HCV)の増殖を抑制する。

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