令和08年度 第111回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 240,241

Pin Off  未ブックマーク   
問 240  リアルタイム正答率 : 74.3%
問 241  リアルタイム正答率 : 62.5%

 国家試験問題

国家試験問題
7月中旬に学校薬剤師が担当中学校の屋外プールの水質検査を実施した。採水時刻は午前11時、天候は晴れ、気温29.5℃、水温32℃であった。循環ろ過装置の運転は1日当たり2循環であり、消毒剤として塩素化イソシアヌル酸が自動注入されている。

スクリーンショット 2026-08-25 14.09.09.png


上図のプール3ケ所(A〜C)で遊離残留塩素を測定したところ、全て0.4 mg/Lであった。その他の検査結果は次のとおりだった。

スクリーンショット 2026-08-25 14.09.53.png

問240(衛生)
Aから採取した水の過マンガン酸カリウム消費量を薬剤師が測定することにした。検水100 mLをとり、これに過マンガン酸カリウム処理硫酸溶液5 mLを加え、さらに0.002 mol/L過マンガン酸カリウム溶液10 mLを正確に加えた。5分間煮沸した後、直ちに0.005 mol/Lシュウ酸ナトリウム溶液10 mLを正確に加えて脱色させ、さらに0.002 mol/L過マンガン酸カリウム溶液で微紅色が消えずに残るまで滴定したところ、5.0 mLを要した。このとき、過マンガン酸カリウム消費量(mg/L)に最も近い値はどれか。1つ選べ。ただし、過マンガン酸カリウム溶液とシュウ酸ナトリウム溶液のファクターを1.000、過マンガン酸カリウムの式量を158とする。

1 8.0


2 12


3 16


4 80


5 160




問241(実務)
水質検査結果を基に、学校薬剤師がプールを管理している教員に対し助言する内容として、適切なのはどれか。2つ選べ。

1 過マンガン酸カリウム消費量が多いほど、塩素消毒するとトリハロメタンの生成が抑制できる。


2 水質を改善するためにオーバーフローしないように注意しながら水を補給する。


3 循環ろ過装置は、水に溶存する有機物を除去するために設置している。


4 入泳者数の多さや入水前のシャワーの不足により、過マンガン酸カリウム消費量が多くなる。


5 大腸菌が検出されているので、消毒剤を追加して水質の改善が確認できるまでは遊泳させない。

 解説動画作成を要望!

 解答を選択

問 240    
問 241    

 e-REC解説

問240 解答 3

過マンガン酸カリウム消費量は、水中の酸化されやすい物質(被酸化性物質)との反応によって消費されるKMnO4の量を表した物であり、滴定法によって求められる。
本操作の概要を以下に示す。

スクリーンショット 2026-08-25 14.11.21.png

①有機物と過剰量の過マンガン酸カリウム(KMnO4)が反応し、未反応のKMnO4が残存する。
②残存した未反応のKMnO4とシュウ酸ナトリウムが反応し、KMnO4と未反応のシュウ酸ナトリウムが残存する。
③未反応のシュウ酸ナトリウムを0.002 mol/L KMnO4溶液で滴定する。このとき、KMnO4溶液の滴定量と、有機物と反応したKMnO4溶液量が等しくなるため、滴定量から過マンガン酸カリウム消費量(mg/L)を求めることができる。

③より、0.002 mol/L KMnO4溶液の滴定量と被酸化性物質と反応した0.002 mol/L KMnO4溶液(f=1.000)の量は等しくなるため5.0 mLとなり、物質量に換算すると0.002 mol/L×5.0 mL×1.000=0.01 mmolとなる。
これを、質量に換算すると、0.01 mmol×158 mg/mmol≒1.58 mgとなる。
本操作では、検水100 mLで測定しているため、1 Lあたりに換算すると、過マンガン酸カリウム消費量(mg/L)は1.58(mg/100 mL)=15.8(mg/L)となる。
※f(ファクター)とは、標準液の規定されたモル濃度からのずれを表す。滴定法では被験物質の量を求める際に、消費量にfを乗じることで濃度のずれを補正する。


問241 解答 4、5

1 誤
トリハロメタンは、フミン質(有機物に含有)を含む水の塩素消毒により生成する。一般に、有機物の含有量が多い水では、過マンガン酸カリウム消費量は多くなるため、過マンガン酸カリウム消費量が多いほど、塩素消毒するとトリハロメタンの生成は増大する。

2 誤
水質を改善するために、オーバーフローするように水を補給する。オーバーフローとは、水を意図的に溢れさせてプールサイドの溝に排水する方法であり、水面の汚れ(髪の毛や皮脂など)を取り除き、水質を保つことができる。

3 誤
循環ろ過装置は、大きめの不溶性有機物(髪の毛、木の葉、虫の死骸など)を除去するために設置している。

4 正
過マンガン酸カリウム消費量は有機物汚染の指標であり、一般に、有機物の含有量が多い水では、過マンガン酸カリウム消費量は多くなる。よって、入浴者数の多さや入水前のシャワー不足により有機物の混入量が増加すると、過マンガン酸カリウム消費量が多くなる。

5 正
水泳プールに係る学校環境衛生基準において、大腸菌は「検出されないこと」とされており、大腸菌が検出された場合は、プールの使用を中止し、塩素消毒を強化する必要がある。その後、大腸菌の再検査を行い、大腸菌が検出されないことを確認できた場合にプールの再開が認められる。

 Myメモ - 0 / 1,000

e-REC 過去問解説システム上の [ 解説 ] , [ 解説動画 ] に掲載されている画像・映像・文章など、無断で複製・利用・転載する事は一切禁止いたします