令和03年度 第106回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 242,243

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問 242  正答率 : 62.4%
問 243  正答率 : 77.7%

 国家試験問題

国家試験問題
問242〜243
57歳男性。5年前より、2型糖尿病及び心房細動に対して以下の薬剤が処方されている。今回、悪性リンパ腫が疑われたため、確定診断のために18F−フルデオキシグルコース(FDG)を用いたポジトロン断層・コンピューター断層複合撮影(PET/CT)検査を行うこととなった。

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問242(実務)
PET/CT検査を行うにあたり、担当薬剤師が患者に行う説明のうち、適切なのはどれか。1つ選べ。

1 検査2日前から、メトホルミンの内服を中止してください。


2 検査後2日間、メトホルミンの内服を中止してください。


3 検査2日前から、ワルファリンカリウムの内服を中止してください。


4 5%ブドウ糖加酢酸リンゲル液を、18F−FDGと同時に投与します。


5 検査4時間前から、食事をとらないでください。




問243(衛生)
この患者に投与される18F−FDG及びPET/CT検査に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。

1 生体内での挙動がグルコースと類似するため、この患者の血糖コントロールが不十分な場合、患部の描出がしにくい。


2 グルコース利用率が高い組織を描出するので、安静状態で検査を行う。


3 本剤の使用に際しては、放射線防護に関する法令を遵守する必要がある。


4 PET/CT検査による患者の被曝実効線量は、一般公衆の1年間の被曝実効線量より低い。


5 本剤が蓄積した組織から放出される消滅放射線を測定し画像化する。

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問 242    
問 243    

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問242 解答 5

1 誤
18F−フルデオキシグルコース(FDG)は生体内での挙動がグルコースと類似するため、患者の血糖コントロールが不十分な場合、患部の描出がしにくい。そのため、適切に血糖値を安定化させる必要がある。したがって、メトホルミンの内服を中止する必要はない。なお、メトホルミンを検査時に中止するのは、ヨード造影剤を用いる検査の場合である。

2 誤
解説1参照

3 誤
18F−フルデオキシグルコース(FDG)とワルファリンカリウムとの相互作用は報告されていないため、内服を中止する必要はない。

4 誤
本剤と糖を含む輸液(5%ブドウ糖加酢酸リンゲル液など)を同時に投与すると、グルコースが病変部に集積し、本剤が病変部に集積しにくくなるため、画像のコントラストが低下する。

5 正
食事により摂取されたグルコースが病変部に集積し、本剤が病変部に集積しにくくなるため、画像のコントラストが低下する。したがって、検査4時間前から、食事を控える必要がある。


問243 解答 4

1 正
18F−フルデオキシグルコース(FDG)は生体内での挙動がグルコースと類似するため、患者の血糖コントロールが不十分な場合、患部の描出がしにくい。そのため、適切に血糖値を安定化させる必要がある。

2 正
体を動かすことにより、本剤が筋肉などへ集積することがあるため、本剤投与前から撮像前は安静にして、激しい運動は行わないこととされている。

3 正
本剤のような放射性医薬品の使用に際しては、放射線防護に関する法令を遵守する必要がある。

4 誤
一般公衆の1年間の被曝実効線量は約1 mSv(医療は除く)である。一方、PET/CT検査では、PETによる被曝が約3.5 mSv、CT検査による被曝が1回につき約5〜30 mSvである。したがって、PET/CT検査による患者の被曝実効線量は、一般公衆の1年間の被曝実効線量より高い。

5 正
PET検査では、β壊変により放射性核種から放出された陽電子が、生体内の電子と結合して、ほぼ180度の方向に2本のγ線(消滅γ線)を測定し画像化する。

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