平成27年度 第100回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 248,249

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問 248  正答率 : 72.7%
問 249  正答率 : 65.7%

 国家試験問題

国家試験問題
17歳男性。高等学校での授業中に黒板の文字が見えにくくなり眼科を受診した。仮性近視であると診断され、以下の薬剤が処方された。お薬手帳を確認したところ、整形外科で湿布薬を処方されていることがわかった。
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問248(実務)
この点眼剤に関する記述のうち、適切でないのはどれか。2つ選べ。

1 緑内障の患者には禁忌である。


2 点眼後、しばらくは強い光を直接見ないように注意する。


3 湿布薬の揮発性成分の影響があるので、開封した湿布薬と一緒に保管しない。


4 容器に記載されている使用期限は開封後の品質を保証するものである。


5 指示通りに使用すると、約1週間で無くなる量である。




問249(薬理)
トロピカミドによる仮性近視改善に関わる機序はどれか。1つ選べ。

1 ムスカリン性アセチルコリン受容体の刺激により毛様体筋が収縮し、水晶体の厚さが増して屈折率が上昇する。
2 ムスカリン性アセチルコリン受容体の刺激により毛様体筋が弛緩し、水晶体は扁平化して屈折率が減少する。
3 ムスカリン性アセチルコリン受容体の遮断により毛様体筋が収縮し、水晶体の厚さが増して屈折率が上昇する。
4 ムスカリン性アセチルコリン受容体の遮断により毛様体筋が弛緩し、水晶体は扁平化して屈折率が減少する。
5 コリンエステラーゼの活性化により毛様体筋が収縮し、水晶体の厚さが増して屈折率が上昇する。

6 コリンエステラーゼの活性化により毛様体筋が弛緩し、水晶体は扁平化して屈折率が減少する。

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問 248    
問 249    

 e-REC解説

問248 解答 4、5

1 適切
トロピカミドは、抗コリン薬であり、毛様体の弛緩によりシュレム管を閉塞させ、眼房水の排出を抑制し、眼圧を上昇させる作用がある。そのため、トロピカミドは、緑内障患者には投与禁忌である。

2 適切
トロピカミドは、抗コリン薬であり、瞳孔括約筋を弛緩させ、散瞳を起こす。そのため、本剤を点眼後、しばらくは強い光を直接見ないように注意する必要がある。

3 適切
開封した湿布薬と点眼薬を一緒に保管すると、点眼剤が湿布薬の揮発成分の影響を受けることがあるため、開封した湿布薬と点眼薬は一緒に保管しない。

4 不適切
容器に記載されている使用期限は、未開封の状態で適切な条件下で保存された場合の品質を保証するものである。

5 不適切
一般に点眼剤の一滴は、20〜50 µLであることから、点眼液5 mLで100回以上点眼すること可能である。よって、本剤を「1回1滴 1日1回就寝前 両眼点眼」しても、1週間で無くなることはない。


問249 解答 4

仮性近視とは、治療により正視※1に戻る軽度の近視※2のことである。
トロピカミドは、ムスカリン性アセチルコリン受容体を遮断することで毛様体筋を弛緩させ、水晶体を扁平化して、屈折率を減少させる。そのため、トロピカミドを点眼することで、焦点を遠くに合わせることが可能になるため、仮性近視を改善することが可能である。
正視※1:水晶体の厚さが適切で、焦点が網膜に合った状態
近視※2:水晶体の肥厚により、焦点が網膜より前になっている状態

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