平成25年度 第98回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 252,253

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問 252  正答率 : 36.9%
問 253  正答率 : 71.7%

 国家試験問題

国家試験問題
糖尿病患者が以下の処方せんを持って保険薬局に来局した。なお、この薬局には初めての来局である。
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問252(薬理)
処方されたこれらの薬剤の作用機序として、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 α-アミラーゼを競合的に阻害し、食後高血糖を抑制する。


2 ATP感受性Kチャネルを遮断し、膵β細胞を脱分極させる。


3 ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)を阻害し、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の分解を抑制する。


4 GLP-1受容体を直接刺激し、血糖値を低下させる。


5 グルカゴンの分泌を抑制し、血糖値の上昇を抑制する。




問253(実務)
この患者への服薬指導時の対応として、適切でないのはどれか。2つ選べ。

1 ボグリボースは、インスリンの分泌を促進すると説明する。


2 ボグリボースの副作用として、腹部膨満、放屁が増加することを説明する。


3 シタグリプチンは、血糖値をコントロールするホルモンであるインクレチンの作用を増強し、血糖値を下げると説明する。


4 低血糖の症状が現れた場合、砂糖水を飲むように説明する。


5 腎臓の働きが悪いと言われたことがあるかどうか確認する。

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問 252    
問 253    

 e-REC解説

問252 解答 3、5

1 誤
ボグリボースは、α-グルコシダーゼ阻害薬であり、糖質の分解を抑制し消化・吸収を低下させることで、食後過血糖を改善する。同じα-グルコシダーゼ阻害薬であるアカルボースは、α-アミラーゼ阻害作用も有するが、ボグリボースにはα-アミラーゼ阻害作用はほとんどない。

2 誤
ATP感受性Kチャネルを遮断し、膵β細胞からのインスリン分泌を促進する糖尿病治療薬は、スルホニル尿素(SU)剤などである。

3 正
シタグリプチンは、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)を阻害し、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)やグルコース依存性インスリン分泌刺激ペプチド(GIP)などのインレクチンの分解を抑制し、グルコース濃度依存的にインスリン分泌を促進し、グルカゴン分泌を抑制する。

4 誤
GLP-1受容体を直接刺激する糖尿病治療薬には、リラグルチドなどがある。

5 正
シタグリプチンは、インクレチンの分解を抑制することで、インスリン分泌を促進するとともに、グルカゴン分泌を抑制し、血糖値の上昇を抑制する。


問253 解答 1、4

1 不適切
ボグリボースには、インスリン分泌を促進する作用はない。なお、シタグリプチンは、間接的にインスリン分泌を促進する。

2 適切
ボグリボースなどのα-グルコシダーゼ阻害薬の代表的な副作用は、腸閉塞様症状があり、腹部膨満、放屁の増加などがある。

3 適切
シタグリプチンは、インクレチンの分解を抑制することでインクレチン作用を増強し、血糖低下作用を示す。

4 不適切
ボグリボースなどのα-グルコシダーゼ阻害薬は、消化管において多糖から単糖への分解を抑制するため、砂糖水に含まれる糖質の吸収を低下させる。そのため、低血糖の症状が現れた場合は、砂糖水ではなく単糖類であるブドウ糖を摂取するよう説明する必要がある。

5 適切
シタグリプチンは、大部分が未変化体として尿中から排泄されるため、重度の腎機能障害患者への投与は禁忌である。

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