平成28年度 第101回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 254,255

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問 254  正答率 : 66.9%
問 255  正答率 : 75.7%

 国家試験問題

国家試験問題
30歳男性。気管支ぜん息の治療のため以下の薬剤が処方された。
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問254(実務)
この処方薬で生じる可能性のある副作用として誤っているのはどれか。1つ選べ。

1 アナフィラキシー


2 肺炎


3 口腔カンジダ症


4 振戦


5 血清カリウム濃度上昇




問255(薬理)
上記の処方薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 フルチカゾンは、細胞質のグルココルチコイド受容体に結合し、核内に移行する。


2 フルチカゾンは、NF-κBを活性化して、抗炎症作用を示す。


3 サルメテロールは、気管支平滑筋のアドレナリンβ2受容体を刺激し、アデニル酸シクラーゼを活性化する。


4 フルチカゾンは、血糖上昇作用を有するが、サルメテロールはその作用を減弱する。


5 サルメテロールは、心機能抑制作用を有するが、フルチカゾンはその作用を減弱する。

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問 254    
問 255    

 e-REC解説

問254 解答 5

1 正しい
アドエア125エアゾール120吸入剤は、重大な副作用としてショック、アナフィラキシーがあらわれることがあるため、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の投与を中止し、適切な処置を行う必要がある。

2 正しい
慢性閉塞性肺疾患患者においてアドエア125エアゾール120吸入剤との関連性が否定できない肺炎が報告されているため、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の投与を中止し、適切な処置を行う必要がある。

3 正しい
アドエア125エアゾール120吸入剤に含有されているフルチカゾンプロピオン酸エステルは、副腎皮質ステロイド性薬であり、免疫抑制作用を有するため副作用として口腔カンジダ症を起こすことがある。

4 正しい
アドエア125エアゾール120吸入剤に含有されているサルメテロールキシナホ酸塩は、アドレナリンβ2受容体刺激薬であり、副作用として振戦を起こすことがある。

5 誤っている
アドエア125エアゾール120吸入剤に含有されているサルメテロールキシナホ酸塩は、アドレナリンβ2受容体刺激薬であり、重大な副作用として血清カリウム濃度の低下を起こすことがあるため、必要に応じて血清カリウム値をモニターすることが望ましい。


問255 解答 1、3

1 正
フルチカゾンは、副腎皮質ステロイド性薬(グルココルチコイド製剤)であり、細胞質のグルココルチコイド受容体に結合し複合体を形成後、核内に移行して生理作用を示す。

2 誤
フルチカゾンは、炎症反応に関与する転写因子であるNF-κBを抑制し、炎症性サイトカインや抗体産生を抑制し抗炎症作用を示す。

3 正
サルメテロールは、気管支平滑筋のGsタンパク質共役型受容体であるアドレナリンβ2受容体を刺激し、アデニル酸シクラーゼを活性化することで細胞内cAMP濃度を増加させる。その結果、細胞内Ca2+濃度が低下し、気管支平滑筋が弛緩する。

4 誤
フルチカゾンは、糖新生を促進し、糖利用を抑制することで血糖を上昇させる。また、サルメテロールは、アドレナリンβ2受容体を刺激し、グリコーゲン分解を促進することで血糖を上昇させるため、フルチカゾンの血糖上昇作用を増強する。

5 誤
サルメテロールは、弱いアドレナリンβ1受容体刺激作用を有するため、心機能を亢進させ副作用として頻脈を起こすことがある。フルチカゾンとの相互作用については特に報告されていない。

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