平成26年度 第99回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 272,273

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問 272  正答率 : 51.0%
問 273  正答率 : 59.3%

 国家試験問題

国家試験問題
23歳女性。体重45 kg。てんかんと診断され、下記の処方による治療が開始された。
スクリーンショット 2018-09-25 12.14.28.png

問272(実務)
この患者で予想される定常状態でのフェニトイン血中濃度とその解釈として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
ただし、この患者におけるフェニトインの体内動態に関するパラメータとして、ミカエリス定数5 µg/mL、みかけの最大消失速度10 mg/kg/dayが得られている。

1 血中濃度は10 µg/mLと予想され、有効濃度域を下回っていると考えられる。


2 血中濃度は10 µg/mLと予想され、有効濃度域の下限付近と考えられる。


3 血中濃度は10 µg/mLと予想され、有効濃度域の上限付近と考えられる。


4 血中濃度は20 µg/mLと予想され、有効濃度域の下限付近と考えられる。


5 血中濃度は20 µg/mLと予想され、有効濃度域の上限付近と考えられる。


6 血中濃度は20 µg/mLと予想され、有効濃度域の上限を超えていると考えられる。




問273(薬剤)
フェニトインの投与量が増加したとき、代謝飽和のために値が小さくなる薬物動態パラメータはどれか。1つ選べ。

1 全身クリアランス


2 分布容積


3 血中消失半減期


4 最高血中濃度/投与量


5 血中濃度時間曲線下面積/投与量

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問 272    
問 273    

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問272 解答 2

フェニトインの消失速度は、Michaelis−Menten式で表される。
スクリーンショット 2017-04-06 13.49.15.png

設問に「定常状態でのフェニトイン血中濃度とその解釈」とあるため、定常状態における血中濃度を求める必要がある。定常状態では、注入速度=消失速度の関係が成立するため、以下のような関係式が成立する。
スクリーンショット 2017-04-06 13.49.25.png

また、設問では、フェニトイン錠100 mg 1回1錠(1日3錠)処方されていることから、注入速度は300 mg/dayとなる。
これらのことから、Cssを以下のように求めることができる。
スクリーンショット 2017-04-06 13.49.42.png

フェニトインの有効血中濃度は10〜20 µg/mLであるため、定常状態でのフェニトインの血中濃度は、有効血中濃度の下限付近と考えられる。


問273 解答 1

フェニトインの投与量が増加することにより、肝代謝の飽和が起こることがある。肝代謝の飽和が起こると、フェニトインが消失されにくくなるため、消失のパラメータである全身クリアランスの値は小さくなり、消失半減期は延長する。
飽和が生じていない場合、血中濃度時間曲線下面積の比(血中濃度時間曲線下面積/投与量)や最高血中濃度の比(最高血中濃度/投与量)は、比例関係を示すため一定の値を示す。しかし、肝代謝の飽和が起こると、フェニトインは消失されにくくなるため、血中濃度時間曲線下面積の比(血中濃度時間曲線下面積/投与量)や最高血中濃度の比(最高血中濃度/投与量)は大きくなる。

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