平成31年度 第104回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 276,277

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問 276  正答率 : 65.5%
問 277  正答率 : 64.1%

 国家試験問題

国家試験問題
70歳女性。気管支喘息のため吸入療法を行っている。本日、デバイスが異なる吸入剤へ変更したため、医師から薬剤師に吸入指導の依頼があった。薬歴を確認したところ、前回の処方1から処方2へ変更になっていた。

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患者に確認したところ、認知機能、視力、聴力及び手指筋力の低下は認められなかった。

問276(実務)
薬剤師がこれまでのデバイスとの吸入方法等の違いを指導するポイントとして適切なのはどれか。2つ選べ。

1 使用前によく振る。


2 吸入直前に息を強く吐き出してから吸い込む。


3 できるだけ速く吸い込む。


4 噴霧と吸気のタイミングが合わないときにはスペーサーを使用する。


5 吸入後にそのまま3〜4秒程度息を止める。




問277(薬剤)
処方1と処方2の製剤の特徴に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 処方1の製剤は、吸入量が一定となるように調製された固体粒子のエアゾールとして吸入する製剤である。


2 処方1の製剤は、薬物の固体粒子が液状媒体に懸濁した状態で吸入器に充てんされた製剤である。


3 処方1の製剤は、容器に充てんした噴射剤と共に、一定量の有効成分を噴霧する定量噴霧式吸入剤である。


4 処方2の製剤には、密閉容器が用いられる。


5 処方2の製剤は、薬剤を含むエアゾール缶、定量バルブとアクチュエーター等から構成される。

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問 276    
問 277    

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問276 解答 1、4

処方1のアドエア250ディスカス60吸入は注1の補足文より吸入粉末剤、処方2のアドエア125エアゾール120吸入は注2の補足文より吸入エアゾール剤であることがわかる。今回の指導は吸入エアゾールならではの特徴を伝達すべきである。各デバイスの使用方法を下記表で比較する。

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1 正
吸入エアゾール剤を使用する際は、主薬が均一に混じり合うようにするために使用前によく振るよう指導する。

2 誤
どちらのデバイスも吸入前に息を吐く必要があるが、息を強く吐き出すと吸入のタイミングが取りにくくなることがあるため、無理をしない程度に息を吐き出すよう指導する。

3 誤
吸入粉末剤は、吸気により発生した気流により薬剤が噴出されるため、使用時はできる限り勢いよく吸い込む必要がある。吸入エアゾール剤は、速く吸い込んでしまうと薬剤の噴射と吸入のタイミングがずれてしまい、吸入効率が低下してしまう恐れがある剤形であるため、使用時はゆっくりと吸入するよう指導する。

4 正
吸入エアゾール剤は、噴霧された薬剤を吸い込むことで効果を発揮する製剤であり、吸入する際は噴霧された薬剤粒子と呼吸を同調させる必要がある。そのため、同調が難しい場合にはスペーサー(吸入補助具)を使用する。一方、吸入粉末剤は、吸気により発生した気流により薬剤が噴出される剤形であるため、吸入のタイミングを同調させる必要はない。そのため、スペーサーを使用する必要はない。

5 誤
どちらのデバイスも、吸入後の薬剤沈着を十分にするために3〜4秒程度を目安に息を止めるよう指導する。


問277 解答 1、5

1 正
処方1の製剤(吸入粉末剤)は、吸入量が一定となるように調製された固体粒子のエアゾールとして吸入する製剤である。

2 誤
吸入用懸濁剤の記述である。

3 誤
吸入エアゾール剤の記述である。

4 誤
処方2の製剤(吸入エアゾール剤)は、通例、耐圧性の密封容器が用いられる。

5 正
処方2の製剤(吸入エアゾール剤)は、定量バルブが取り付けられた耐圧性の密封容器(エアゾール缶)に薬剤及び噴霧ガスを充てんし、噴射ボタン(アクチュエーター)を押すことで、定量バルブの弁が開放されて噴射ガスと共に一定量の薬剤が噴出するように設計されている。

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