令和05年度 第108回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 282,283

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問 282  正答率 : 57.4%
問 283  正答率 : 53.6%

 国家試験問題

国家試験問題
34歳女性。身長165 cm、体重40 kg。統合失調症の診断を受け、外来にてリスペリドン経口製剤で治療を受けていた。内服継続にて症状は安定してきたため、医師が患者にリスペリドンの持効性注射剤について説明したところ、患者はその使用を希望した。そこで、リスペリドンの投与並びに持効性注射剤へ剤形変更する際の注意点について、担当医から医薬品情報管理室に確認があった。

(検査値)
AST 36 IU/L、ALT 18 IU/L、BUN 5.8 mg/dL、血清クレアチニン0.92 mg/dL
白血球4,200 /µL、赤血球340×104 /µL、Hb10.5 g/dL、血小板32.5×104 /µL

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問282(実務)
薬剤師が医師に伝える注意点として、適切なのはどれか。2つ選べ。

1 毎回、同一部位に注射する。


2 最大量に増量しても効果が認められない場合は、クロザピンを併用する。


3 薬剤の調製は、冷所から常温に戻して行う。


4 無月経や月経障害が起こる可能性を、患者に指導する。


5 悪性症候群を疑う症状が現れた際には、次回の投与量を減量する。




問283(薬剤)
剤形変更後の製剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

1 生分解性高分子に薬物を封入して、長期間の薬物放出を行うことができる。


2 脂質二重膜により薬物を保護することで、長期間安定に保存できる。


3 薬物結晶の表面を生分解性高分子でコーティングしている。


4 分子内に親水性部と疎水性部をもつ高分子が、自己会合して薬物を保持している。


5 水溶性高分子を結合させた脂質を用いて、静脈内での滞留性が改善されている。

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問 282    
問 283    

 e-REC解説

問282 解答 3、4

1 誤
注射部位は毎回左右交互とし、同一部位への反復注射は行わないこととされている。

2 誤
クロザピンは原則単剤で使用し、他の抗精神病薬とは併用しないこととされている。また、本剤は半減期が長いため、本剤が体内から消失するまでクロザピンを投与してはならない。

3 正
本剤は2〜8℃の冷所保存であり、薬剤の調整は、冷所から常温に戻して行うこととされている。

4 正
本剤の副作用には、無月経、月経障害、乳汁漏出症などの生殖系及び乳房障害がある。

5 誤
悪性症候群を疑う症状が現れた際には、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこととされている。


問283 解答 1

本剤のバイアル中に含まれるdl−ラクチドグリコリド共重合体は、生体内で徐々に分解される生分解性高分子であり、持続性注射用マイクロスフェアの基剤として用いられる。本剤は、生分解性高分子にリスペリドンを封入して製剤化されており、専用懸濁用液にて用時懸濁し、臀部の筋肉内に投与することで長期間の薬物放出を行うことができる。

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