令和06年度 第109回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 284,285

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問 284  正答率 : 63.0%
問 285  正答率 : 64.9%

 国家試験問題

国家試験問題
43歳男性。妻38歳、長男4歳。フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病のため大学病院血液内科にて化学療法中(シクロホスファミド、ビンクリスチン、ドキソルビシン、デキサメタゾン)である。また、化学療法に伴う副作用軽減のため、処方1の薬剤を服用している。右眼に霧視が発現したため、近隣の眼科を受診した。網膜浮腫と周辺部の血管炎があり、大学病院眼科にて精査のため入院となった。化学療法実施中であり、眼底所見から、サイトメガロウイルス網膜炎と診断され、ガンシクロビル点滴静注600 mg/dayの投与が開始された。

(検査所見)
白血球4,360 /µL、好中球2,065 /µL、リンパ球1,720 /µL、好塩基球490 /µL、
CMV抗体陽性、Hb 12 g/dL、右眼の矯正視力は今回受診時測定不能、
左眼1.2、HbA1c 8.7%、CCr 61 mL/min

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眼内の炎症が改善したため、処方2の薬剤の服用による治療となった。

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1週間服用後、同一の内服薬を14日分処方され、退院となった。

問284(実務)
初回面談における処方1の薬剤の服薬状況の確認時に、朝食後に飲む薬剤の数量が多いため、服用時間をずらして飲むことがあるとの申し出があった。病棟担当薬剤師によるバルガンシクロビル錠の服薬説明として、適切なのはどれか。2つ選べ。

1 服用期間中は、抗真菌剤の服用を中止してください。


2 食事の影響を受けるため、服用時間をずらさず食後30分以内に服用してください。


3 服用期間中は、ワクチンの接種を避けてください。


4 服用期間中及び服用期間終了後、一定期間は避妊の必要があります。


5 この薬を飲み忘れた場合、次回に4錠服用してください。




問285(薬剤)
前問で処方された内服薬は、注射剤であるガンシクロビルの消化管吸収を改善することによって経口製剤化した医薬品である。有効成分の吸収に影響する因子を考慮するために、構造式及び物性値から主たる吸収改善の機構を推定した。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

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1 塩の形成による溶解性の改善


2 疎水性を高めることによる受動輸送の改善


3 腸内細菌による活性体への変換


4 ペプチドトランスポーターの基質となる化学修飾


5 P−糖タンパク質による能動輸送の促進

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問 284    
問 285    

 e-REC解説

問284 解答 2、4

1 誤
バルガンシクロビルと抗真菌剤(フルコナゾールなど)との相互作用は報告されていないため、抗真菌剤を中止する必要はない。なお、服薬説明時に薬剤師の判断で薬剤の服用を中止するよう説明する行動自体も不適切である。

2 正
バルガンシクロビルの吸収は、食後に比べて空腹時に服用した時の方が低下する。そのため、服用時間をずらさず食後30分以内に服用するよう説明することは適切である。

3 誤
バルガンシクロビルとワクチンとの相互作用は報告されていないため、服用期間にワクチンの接種を避けるよう説明することは不適切である。

4 正
動物実験において、バルガンシクロビルの活性代謝物であるガンシクロビルは、精子形成機能障害、妊孕性低下、催奇形性があると認められている。そのため、妊娠する可能性のある女性は使用期間中、男性は使用期間中及び使用後90日間は避妊する必要があると説明することは適切である。

5 誤
2回分をまとめて服用すると、血中濃度が急激に上昇することで副作用が発現しやすくなるため、この薬を飲み忘れた場合、次回に4錠服用するよう説明することは不適切である。飲み忘れた場合、気がついた時に1回分を服用する。ただし、次の服用時間が近い場合は1回とばして、次の時間に1回分服用する。


問285 解答 4

バルガンシクロビルは、ガンシクロビルのL−バリンエステル(プロドラッグ)であり、吸収過程において、ペプチドトランスポーター(PEPT1)が関与していると考えられている。

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