平成24年度 第97回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 286,287

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問 286  正答率 : 63.4%
問 287  正答率 : 58.5%

 国家試験問題

国家試験問題
60歳男性。半年前より、咳及び痰が出現しているが、軽度であり放置していた。今回、会社の健康診断で肺の腫瘤陰影を指摘され、呼吸器内科を受診した。
【検査所見】
特になし。
【喫煙歴】
20歳頃より現在まで喫煙中。現在20本/日
【検査所見】
胸部X線:右肺門部に径3 cmの腫瘤陰影が認められた。
気管支内視鏡検査:右主気管支の圧迫像が認められた。
気管支肺生検:小細胞肺癌の診断であった。

問286(病態・薬物治療)
本症例の治療に適切な薬物はどれか。2つ選べ。

1 フルオロウラシル


2 ブレオマイシン塩酸塩


3 ゲムシタビン塩酸塩


4 イリノテカン塩酸塩


5 シスプラチン




問287(実務)
上記の治療開始後に胸痛を訴えたため、CT及びPET検査を行ったところ、胸椎に骨転移が認められた。患者は胸痛が強く、痛みによる睡眠障害も出現していたため、疼痛緩和治療としてモルヒネ硫酸塩水和物徐放錠が処方された。
この薬剤の病院における取扱いに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 施設内で使用する麻薬処方せんであったので、麻薬処方せんに入院患者の住所を記載することを省略した。


2 施設に常勤している医師が処方したので、麻薬処方せんに麻薬施用者番号を記載することを省略した。


3 薬剤部において収納スペースが狭かったので、覚せい剤とー緒に施錠できる堅固な金庫内に保管した。


4 薬剤部の金庫内で保管中に不要になったので、都道府県知事に麻薬事故届を提出して適切に廃棄した。


5 病棟において残薬が生じたので、麻薬管理者に返却することなく回収困難な方法にて廃棄した。

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問 286    
問 287    

 e-REC解説

問286 解答 4、5

肺がんは、小細胞肺がんと非小細胞肺がん(扁平上皮がん、腺がん、大細胞がん)に大別され、小細胞肺がんは転移をきたしやすいため、手術不可能な場合が多い。しかし、癌化学療法に対する感受性は高いため、IP療法(イリノテカン塩酸塩水和物とシスプラチンの併用)や、PE療法(シスプラチンとエトポシドの併用)などの化学療法が治療の中心として行われる。

1 誤
フルオロウラシルは、消化器がん、乳がん、子宮がんなどに用いられる。

2 誤
ブレオマイシン塩酸塩は、非小細胞肺がんの分類のうち扁平上皮がんに用いられる。

3 誤
ゲムシタビン塩酸塩は、非小細胞肺がんや膵臓がんに用いられる。

4 正
前記参照。

5 正
前記参照。


問287 解答 1、3

1 正
麻薬処方せんは、一般処方せん記載事項の他に、患者の住所及び麻薬施用者免許証番号の記載が必要である。このうち、施設内で使用する麻薬処方せんは、患者の住所など一部の記載事項を省略できる。

2 誤
麻薬施用者が常勤であっても麻薬施用者免許証番号を省略することはできない。

3 正
麻薬は、麻薬以外の医薬品(覚せい剤を除く)と区別し鍵をかけた堅固な設備内に保管する。よって、麻薬であるモルヒネ硫酸塩水和物は、覚せい剤と一緒に施錠できる堅固な金庫内に保管できる。

4 誤
薬剤部の金庫内で保管中に不要になった場合、都道府県知事に麻薬廃棄届を提出後、当該職員の立ち会いのもと廃棄する。なお、麻薬事故届は、所有、管理する麻薬に減失、盗取、所在不明などの事故が生じた場合に提出するものである。

5 誤
院内で麻薬の残薬が生じた場合、麻薬管理者に返却し、麻薬管理者が他の職員立会いのもと、焼却などの回収困難な方法にて廃棄を行う。

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