平成31年度 第104回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 290,291

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問 290  正答率 : 65.3%
問 291  正答率 : 81.2%

 国家試験問題

国家試験問題
71歳男性。50年前から喫煙習慣がある(ブリンクマン指数:1200)。長期間続く咳嗽、喀痰、喘鳴と階段歩行時の息切れを訴え、近医を受診した。精査の結果、COPDと診断され、以下の薬剤が処方された。

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問290(病態・薬物治療)
この患者の身体所見と臨床検査に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 胸部聴診にて捻髪音が聴取される。


2 重症化すると高炭酸ガス血症を呈しやすい。


3 1秒率(FEV1.0/FVC)が70%未満である。


4 代謝性アルカローシスを呈しやすい。


5 シアル化糖鎖抗原KL−6が上昇する。




問291(実務)
この患者が処方せんを持参し近所の薬局を訪れた。薬剤師がこの患者に対して行う確認・説明として適切なのはどれか。2つ選べ。

1 閉塞隅角緑内障でないことを確認する。


2 口腔内カンジタ予防のため、吸入後にうがいをするように説明する。


3 急性増悪時には、吸入剤を頓用で使用するよう説明する。


4 禁煙指導を行い、テオフィリンの副作用に注意する。


5 テオフィリンによる赤色尿は心配ないことを説明する。

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問 290    
問 291    

 e-REC解説

問290 解答 2、3

1 誤
胸部聴診にて捻髪音が聴取される代表的な疾患は、間質性肺炎や肺線維症である。COPDでは胸部聴診にて、水泡音やいびき音などを認める。

2 正
COPDでは気流制限による慢性的な気道閉塞を認め、重症化に伴い低酸素血症や高炭酸ガス血症を呈する。

3 正
COPDのような閉塞性換気障害をきたす疾患は、呼気性呼吸困難により1秒率が70%未満に低下している。

4 誤
COPDでは、気道閉塞に伴い二酸化炭素の排出が低下するため、呼気性アシドーシスを呈する。

5 誤
シアル化糖鎖抗原KL−6の上昇を認める代表的な疾患は、間質性肺炎や肺線維症であり、COPDでは認められない。


問291 解答 1、4

1 正
処方1のチオトロピウム臭化物水和物は、抗コリン作用による眼圧上昇により、症状を悪化させるおそれがあるため、閉塞性隅角緑内障患者に投与禁忌である。

2 誤
副腎皮質ステロイド製剤の服薬指導に関する記述である。なお、本処方に副腎皮質ステロイド製剤は含まれていないため設問の服薬指導は不要である。

3 誤
チオトロピウム臭化物水和物は長時間作用型抗コリン薬であり、長期管理薬として用いられるが、急性増悪時の頓用で使用する薬剤ではない。

4 正
喫煙はCYP1A2を誘導することが報告されており、テオフィリン服用中の患者が喫煙を行うと、テオフィリンの代謝酵素であるCYP1A2の誘導が解除され、テオフィリンの血中濃度上昇に伴う副作用発現のリスクが高まるおそれがある。

5 誤
テオフィリンの重大な副作用に横紋筋融解症がある。そのため、テオフィリン服用中に赤色尿を認めた際は、投与を中止し適切な処置を行う必要がある。

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