令和02年度 第105回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 294,295

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問 294  正答率 : 78.4%
問 295  正答率 : 63.4%

 国家試験問題

国家試験問題
26歳女性。糖尿病の既往がある。大学卒業後、就職し、仕事が増え始めた頃から奇異な言動が見られ始め、部屋に引きこもり、独り言を言う、壁を叩く、蹴るような行動が見られるようになった。心配した家族とともに精神科を受診したところ、統合失調症と診断されて入院となり、アリピプラゾールによる治療が開始された。入院時の検査値はNa 142 mEq/L、K 4.1 mEq/L、Ccr 110 mL/min、AST 22 U/L、ALT 43 U/L、HbA1c 6.4%(NGSP値)であった。アリピプラゾールを徐々に増量し、30 mg/日まで増量した結果、壁を叩くような行動はなくなった。しかし、薬剤師が病室を訪問した際、患者はろれつが回りにくく、手指振戦をきたしていることに気付いた。患者と面談したところ、トイレに行くための歩行もしづらく、日常生活に支障が生じるので困るとの訴えがあった。

問294(病態・薬物治療)
この患者に認められた手指振戦は、抗精神病薬の有害作用と考えられる。その作用発現に関係するドパミン神経経路はどれか。1つ選べ。

1 中脳―辺縁系


2 中脳―皮質系


3 黒質―線条体系


4 漏斗下垂体系


5 青斑核―扁桃体系




問295(実務)
今後の治療方針について薬剤師が行う医師への提案として最も適切なのはどれか。1つ選べ。

1 しばらく経過観察


2 アリピプラゾールの増量


3 クエチアピンへの処方変更


4 クレアチンキナーゼ値の測定


5 ビペリデンの処方追加

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問 294    
問 295    

 e-REC解説

問294 解答 3

本患者に処方されたアリピプラゾールは、ドパミン受容体部分刺激薬(DSS)であり、ドパミン作動性神経に対して、主にドパミン受容体遮断作用を示すため、統合失調症治療薬として用いられる。しかし、黒質―線条体系のドパミン作動性神経の機能低下により、副作用として薬剤性パーキンソン症候群(手指振戦など)を引き起こすことがある。
薬剤性パーキンソン症候群が見られた場合には、原因となった薬物を中止し、対症療法としてビペリデンなどの中枢性抗コリン薬を用いる。


問295 解答 5

問294解説文参照。

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