令和08年度 第111回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 294,295

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問 294  リアルタイム正答率 : 60.0%
問 295  リアルタイム正答率 : 57.8%

 国家試験問題

国家試験問題
58歳男性。身長172 cm、体重73 kg。2型糖尿病で10年前から総合病院を受診し、現在は処方1~4の薬剤を使用している。

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12月初旬の受診時の検査結果は以下のとおりだった。

(12月初旬の検査結果)
空腹時血糖 127 mg/dL、HbA1c 7.0%、尿糖(4+)、尿タンパク(-)、
尿ケトン体(-)、血清クレアチニン0.7 mg/dL、eGFR 78 mL/min/1.73 m2

8週間経過した1月末、年末年始の食生活の乱れから空腹時血糖177 mg/dL、HbA1c 7.8%になった。医師からは、「食事内容に気を付け、薬をきちんと使用すること。次回受診時に改善が見られなければ薬を増やす。」と言われた。さらに2週間経った本日、嘔吐と下痢のため近医を受診して胃腸炎と診断され、処方5及び処方6の処方箋を持って薬局を訪れた。

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薬剤師に「昨夜から食事が摂れなかったが、今朝は家にあったプリンだけ食べられた。甘いものを食べたので、糖尿病の薬はきちんと使用した。」と伝えた。


問294(実務)
薬剤師は患者から同意を得て、総合病院の主治医に連絡をした。シックデイにおける対応に従えばよいと確認した上で指導を行った。胃腸症状が続いている間に関する説明内容として適切なのはどれか。2つ選べ。

1 エンパグリフロジンの服用は続けてください。


2 メトホルミンは服用しないでください。


3 インスリンはどちらも注射しないでください。


4 試験紙で尿ケトン体を調べてみてください。


5 炭水化物の摂取は控えてください。




問295(病態・薬物治療)
その3日後には胃腸炎の症状は消失して、いつもの食事摂取ができるようになり、血糖自己測定結果は以下のとおりであったが、血糖コントロール状況が心配となり、翌日糖尿病で通院している総合病院を受診した。

(いつもの食事摂取ができるようになった日の血糖自己測定)

朝食前 112 mg/dL、朝食後 252 mg/dL、
昼食前 146 mg/dL、昼食後 170 mg/dL、
夕食前 105 mg/dL、夕食後 163 mg/dL、
就寝前 127 mg/dL

(総合病院受診時の検査結果)
空腹時血糖 180 mg/dL、HbA1c 8.0%、尿糖(4+)、
尿タンパク(-)、尿ケトン体(-)


今後の糖尿病治療として適切なのはどれか。2つ選べ。

1 エンパグリフロジンを継続する。


2 メトホルミンを減量する。


3 インスリングラルギンを増量する。


4 朝食直前のインスリンリスプロを増量する。


5 夕食直前のインスリンリスプロを増量する。

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問 294    
問 295    

 e-REC解説

問294 解答 2、4

Sick day(シックデイ)とは、糖尿病患者が発熱、感染症、下痢、嘔吐などの体調不良により、血糖コントロールが乱れやすくなっている状態であり、その際の対処としてシックデイルールを決めて理解しておくことが大切である。

1 誤
エンパグリフロジンはSGLT2阻害薬であり、シックデイ時に服用を続けると脱水やケトアシドーシスのリスクが高まるため、投与を中止する必要がある。

2 正
メトホルミンはビグアナイド系薬であり、シックデイ時に服用を続けると乳酸アシドーシスのリスクが高まるため、投与を中止する必要がある。

3 誤
シックデイの際にインスリン注射を中止してしまうと、著しい高血糖やケトアシドーシスを引き起こすおそれがあるため、インスリン注射は継続する必要がある。

4 正
シックデイの際にはケトアシドーシスのリスクが高まっており、状況把握のため市販または処方された尿ケトン体試験紙を用いて尿ケトン体を調べる必要がある。尿ケトン体陽性の場合には、ケトアシドーシスの可能性を考え、速やかに医療機関を受診する。

5 誤
シックデイの際には、エネルギー不足によるケトアシドーシスを防ぐため、少量ずつでも消化や吸収に良い形で炭水化物を摂取する必要がある。


問295 解答 1、4

本患者の胃腸炎によるシックデイはすでに改善しており、通常どおりの食事摂取が可能とはなったが、総合病院受診時には空腹時血糖180 mg/dL、HbA1c 8.0%と血糖コントロールは悪化している。
また、自己血糖測定(SMBG)では
朝食後:252 mg/dL
昼食後:170 mg/dL
夕食後:163 mg/dL
と、朝食後血糖が特に高値となっているため、現在の治療(エンパグリフロジンなど)を継続しつつ、朝食後血糖を改善するために朝食前の超速効型インスリン(インスリンリスプロ)を増量するのが適切である。

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