令和03年度 第106回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 298,299

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問 298  正答率 : 79.5%
問 299  正答率 : 78.9%

 国家試験問題

国家試験問題
成人男性のHIV感染症患者が、発熱や乾性咳嗽の症状を訴え外来受診した。身体所見として、頭痛、嘔吐などの中枢神経症状はなかった。胸部X線検査で、両側びまん性のすりガラス陰影が認められた。この患者のCD4陽性リンパ球数は、120 /µLであった。なお下図は、感染時からの経過時間とCD4陽性リンパ球数との関係に、CD4陽性リンパ球数の減少に伴って発症する日和見感染症を示したものである。

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問298(病態・薬物治療)
この患者の症状を引き起こした病原体として考えられるのはどれか。1つ選べ。

1 カンジダ


2 クリプトコッカス


3 サイトメガロウイルス


4 トキソプラズマ


5 ニューモシスチス




問299(実務)
この患者の日和見感染症の治療に用いる薬剤として、適切なのはどれか。1つ選べ。

1 アシクロビル錠


2 アムホテリシンBシロップ


3 スピラマイシン錠


4 スルファメトキサゾール・トリメトプリム配合錠


5 フルコナゾールカプセル

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問 298    
問 299    

 e-REC解説

問298 解答 5

CD4陽性リンパ球数は120 /µLであり、問題文の「感染時からの経過時間とCD4陽性リンパ球数の関係の図表」と照らし合わせると、本患者はニューモシスチス肺炎、カンジダ症、クリプトコッカス髄膜炎を発症しうる状態にある。

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また、身体所見として発熱や乾性咳嗽の症状を訴えていること、胸部X線検査で両側びまん性のすりガラス陰影が認められていることから、本患者はニューモシスチス肺炎を発症していると推測される。
なお、頭痛、嘔吐などの中枢神経症状が現れてないことからクリプトコッカス髄膜炎を発症している可能性は低く、皮膚や粘膜症状が現れてないことからカンジダ症を発症している可能性も低い。


問299 解答 4

ニューモシスチス肺炎治療の第一選択薬は、スルファメトキサゾール・トリメトプリム(ST)配合錠である。なお、ST配合錠の副作用(発疹や骨髄抑制など)がみられた場合は、第二選択薬であるペンタミジンイセチオン酸塩注が用いられる。

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