平成30年度 第103回 薬剤師国家試験問題
必須問題 - 問 3

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問 3  正答率 : 92.6%

 国家試験問題

国家試験問題
硫酸バリウムの飽和水溶液に硫酸ナトリウムを加えるとき、硫酸バリウムの沈殿が生じやすくなる現象に最も関連するのはどれか。1つ選べ。

1 過飽和現象


2 共通イオン効果


3 異種イオン効果


4 重原子効果


5 水平化効果

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問 3    

 e-REC解説

解答 2

水に難溶性電解質を溶かしたときの飽和溶液中における陰陽両性イオンの濃度の積を溶解度積Kspといい、難溶性電解質の水へのとけやすさの指標となっている。溶解度積Kspが小さい難溶性電解質ほど水に溶けにくく、大きい難溶性電解質ほど水に溶けやすい。
難溶性電解質MmXnは、ある測定条件において、わずかに水に溶けてイオン形となり、ほとんど溶けない固体と以下の式のような平衡状態となる。

103-003-1.png

固体の濃度はほぼ一定であり、また、溶解したMmXnは完全に解離しているとみなせるため、溶解度積Kspは以下の式で表される。

103-003-2.png

溶解度積Kspは飽和溶液中におけるMn+とXm−の濃度を示し、両イオンの濃度の積が溶解度積Kspより大きい場合、沈殿を生じる。

本問のように、難溶性塩(硫酸バリウム)の飽和溶液に共通イオン(本問ではSO42−)を加えると、イオン濃度が増大し、両イオンの濃度の積が溶解度積Kspを上回るため、難溶性塩の溶解度が著しく減少し、沈殿を生成する。このことを共通イオン効果という。
よって選択肢2が正答となる。

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