令和08年度 第111回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 302,303

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問 302  リアルタイム正答率 : 80.0%
問 303  リアルタイム正答率 : 72.2%

 国家試験問題

国家試験問題
76歳女性。身長153 cm、体重42 kg。在宅医療を受けていたが転倒し、大腿骨近位部骨折のため整形外科に入院加療となった。後日、仙骨部に褥瘡が認められたため、褥瘡対策チームが介入することとなった。褥瘡患部は、感染の可能性のある黄色壊死組織を形成していたため(黄色期)、処方1の薬剤で治療が開始された。

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2週間後、褥瘡対策チームの回診の際、医師が褥瘡の診察を行い、処方1の薬剤から処方2の薬剤へ変更となった。

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問302(実務)
この患者への薬物治療について、整形外科病棟の症例検討カンファレンスで研修医や医療スタッフ向けに発表をして欲しいと褥瘡対策チームの薬剤師へ依頼があった。薬剤師の発表内容として、適切なのはどれか。2つ選べ。

1 処方1の基剤は水溶性であるため、滲出液が多い患部に適していること。


2 処方1の薬剤の効果が不十分であったため、処方2の薬剤へ変更となったこと。


3 処方1及び2の薬剤の塗布後は、安静のために一定の体位を保ってもらうこと。


4 処方2の薬剤は使用部位の疼痛、出血をみることがあるため、壊死組織除去後は使用を中止すること。


5 処方2の薬剤には細胞増殖促進作用があり、肉芽形成を促すために使用していること。




問303(病態・薬物治療)
処方2を開始した10日後、褥瘡は滲出液の少ない白色期に移行した。この時期の病態及び治療について適切なのはどれか。2つ選べ。

1 皮膚の上皮化が進み、肉芽組織が収縮している。


2 症状が改善すると、黒色期に移行する。


3 薬物療法として、積極的に壊死組織を除去する薬剤を使用する。


4 軟膏の基剤として、乳剤性基剤又は油脂性基剤が適している。


5 外科的手術として、デブリードマンが推奨される。

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問 302    
問 303    

 e-REC解説

問302 解答 1、5

1 正
処方1のカデックス軟膏は、ヨウ素を有効成分とし、カデキソマー(デキストリンポリマー)やマクロゴールを基剤としたものであり、潰瘍面における滲出液等の吸収による創面の清浄化効果及び徐々に放出されたヨウ素による持続的な殺菌作用により、潰瘍治癒促進効果を示す。そのため、滲出液が多い患部に適している。

2 誤
処方2のトレチノイントコフェリル軟膏は、創傷自然治癒の増殖過程や組織修復過程において創傷部に出現するマクロファージ、線維芽細胞及び血管内皮細胞に創傷部位で直接作用し、血管新生を伴った肉芽形成を促す。よって、処方1の薬剤の効果が不十分であったため、処方2の薬剤へ変更となったわけではない。

3 誤
褥瘡は、体圧による持続的圧迫が原因で、皮膚組織が壊死することで発症する。そのため、一定の体位を保ってもらうように指導するのではなく、定期的な体位変換をするよう指導する必要がある。

4 誤
褥瘡の治癒過程として、壊死組織除去後に肉芽形成が行われる。よって処方2のトレチノイントコフェリル軟膏は、壊死組織除去後に使用することが望ましい。

5 正
解説2参照


問303 解答 1、4

褥瘡は病変部の色調変化に伴い、黒色期→黄色期→赤色期→白色期と進行する治癒過程を示す。

1 正
治癒課程の最終段階である白色期では、十分に形成した肉芽組織が収縮を伴い、周囲皮膚からの上皮化を進行させ瘢痕治癒に至る。

2 誤
前記参照

3 誤
薬物療法として、積極的に壊死組織を除去する薬剤を使用するのは黒色期や黄色期である。

4 正
滲出液の少ない白色期には、保湿性を期待して乳剤性基剤又は油脂性基剤が用いられる。

5 誤
デブリードマンとは、感染・壊死組織を除去し、創を清浄化する外科処置のことであり、壊死組織が認められる黒色期や黄色期に行われる。

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