平成30年度 第103回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 310,311

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問 310  正答率 : 61.2%
問 311  正答率 : 62.0%

 国家試験問題

国家試験問題
75歳男性。パーキンソン病が進行し、レボドパ製剤に加えてセレギリン塩酸塩錠が併用されることとなった。この医療機関では、併用することとなったセレギリン塩酸塩錠は初めての採用である、薬剤師は、この患者に対して非運動症状(うつ症状、頻尿、便秘、睡眠障害など)の改善のために同時に処方される可能性がある薬剤の併用の可否及び薬剤の取扱いについて確認した。

問310(実務)
次の薬剤のうち、この男性に併用できないのはどれか。2つ選べ。

1 アミトリプチリン塩酸塩


2 フラボキサート塩酸塩


3 ピコスルファートナトリウム


4 フルボキサミンマレイン酸塩


5 トリアゾラム




問311(法規・制度・倫理)
セレギリン塩酸塩錠の取扱いとして正しいのはどれか。2つ選べ。

1 厚生労働大臣の指定を受けた向精神薬卸売業者から購入する必要がある。


2 かぎをかけた場所に保管しなければならない。


3 麻薬を保管している金庫に保管してもよい。


4 廃棄したときは、30日以内に都道府県知事に届け出なければならない。


5 盗難や紛失があったときには、すみやかに都道府県知事に届け出なければならない。

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問 310    
問 311    

 e-REC解説

問310 解答 1、4

1 正
うつ病・うつ状態等の治療に用いられるアミトリプチリン塩酸塩は、モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬(セレギリン塩酸塩)を投与中の患者に対して併用禁忌である。アミトリプチリン塩酸塩を投与する場合は、セレギリン塩酸塩の投与中止後少なくとも14日間の間隔をおかなければならない。これは、アミトリプチリン塩酸塩とセレギリン塩酸塩を併用することにより、セレギリン塩酸塩がアミトリプチリン塩酸塩の代謝を阻害し、また、活性アミンのシナプス内への取り込みが阻害されることにより、発汗、高血圧、失神、動作・精神障害の変化などの副作用が現れ、死亡した例も報告されているためである。

2 誤
頻尿の改善に用いられるフラボキサート塩酸塩は、セレギリン塩酸塩との相互作用は報告されていない。

3 誤
便秘の改善に用いられるピコスルファートナトリウムは、セレギリン塩酸塩との相互作用は報告されていない。

4 正
うつ病・うつ状態等の治療に用いられるフルボキサミンマレイン酸塩は、セレギリン塩酸塩を投与中の患者に対して併用禁忌である。フルボキサミンマレイン酸塩を投与する場合は、セレギリン塩酸塩の投与中止後少なくとも14日間の間隔をおかなければならない。これは、フルボキサミンマレイン酸塩とセレギリン塩酸塩を併用することにより、両薬剤の作用が増強され、脳内セロトニン濃度が高まり、セロトニン症候群が起こりやすくなるためである。

5 誤
不眠症に用いられるトリアゾラムは、セレギリン塩酸塩と併用禁忌ではない。併用することにより、多汗、起立性低血圧等の副作用が現れるおそれがあるため、併用注意とされている。


問311 解答 2、5

セレギリン塩酸塩錠は、覚せい剤原料として、覚せい剤取締法の規制を受ける。

1 誤
セレギリン塩酸塩錠は覚せい剤原料に指定されているため、医療機関は向精神薬卸売業者ではなく、原則として都道府県知事から覚せい剤原料取扱者の指定を受けた医薬品卸売販売業者から購入する必要がある。

2 正
医療機関や薬局において、覚せい剤原料はかぎをかけた場所に保管する必要がある。

3 誤
麻薬と同じ設備(かぎをかけた堅固な設備)で一緒に保管することができるのは、覚せい剤である。

4 誤
覚せい剤原料を廃棄するときは、保管場所の所在地の都道府県知事に届け出て当該職員の立会いのもとで行わなければならない。

5 正
覚せい剤原料輸入(輸出)業者、覚せい剤原料製造業者、覚せい剤原料取扱者、覚せい剤原料研究者、病院・診療所の開設者及び薬局開設者等は、所有し、又は所持する覚せい剤原料に盗取、又は紛失があったときは、すみやかにその覚せい剤原料の品名及び数量その他事故の状況を明らかにするため必要な事項を指定権者に届け出なければならない。

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