平成28年度 第101回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 314,315

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問 314  正答率 : 66.2%
問 315  正答率 : 78.4%

 国家試験問題

国家試験問題
肺炎球菌感染症予防のためのワクチン(23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン)の接種にあたり、薬剤師が病院のスタッフに対して、このワクチンに関する情報を提供した。

問314(実務)
薬剤師が提供する情報として、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 高齢者にのみ接種できる。


2 不活化ワクチンである。


3 すべての肺炎に対して予防効果がある。


4 品質が変化する可能性があるので凍結させない。


5 製造番号、投与日、投与対象者などの記録を20年間保管する。




問315(法規・制度・倫理)
肺炎球菌ワクチンは、生物由来製品として指定されている。生物由来製品に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 製造販売業者が、その製品等の感染症に関する知見に基づいた評価を定期的に報告する制度がある。


2 遺伝子組換え技術を応用して製造される生物由来製品の添付文書には、その旨を記載しなければならない。


3 製造業者が自らその製造を実地に管理しようとするときは、都道府県知事に届け出なければならない。


4 生物由来製品を廃棄する場合は、あらかじめ都道府県知事に届け出なければならない。

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問 314    
問 315    

 e-REC解説

問314 解答 2、4

1 誤
肺炎球菌感染症予防のために用いられるワクチンである23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチンは、予防接種法において定期接種の対象年齢が定められている(原則として、該当する年度に65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳となる者)。しかし、該当する年齢以外の者(高齢者以外の者を含む)であっても、任意の予防接種として接種できる旨を情報提供すべきである。

2 正
23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチンは、23種類の莢膜型の肺炎球菌を型別に培養・繁殖し、殺菌後に各々の型から抽出、精製した莢膜ポリサッカライドを混合した不活化ワクチンである。

3 誤
23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチンは、定期接種で使用されるものの中で、23種類の血清型に効果がある。肺炎球菌以外の病原体による肺炎には効果がない。

4 正
23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチンは、品質の変化を避けるため遮光し8℃以下で凍結をさけて保管する必要がある。

5 誤
23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチンは、生物由来製品であるため患者に使用した際の本ワクチンの製造番号、投与日、投与対象者などの記録を保管する必要はない旨を情報提供すべきである。
なお、輸血用血液製剤などの特定生物由来製品を患者に使用した際は、その製品の製造番号、投与日、投与対象者などの記録を20年間保管する必要がある。


問315 解答 1、2

1 正
生物由来製品の製造販売業者は、その製造販売をし、又は承認を受けた生物由来製品若しくは当該生物由来製品の原料若しくは材料による感染症に関する最新の論文その他により得られた知見に基づき当該生物由来製品を評価し、その成果を厚生労働大臣に定期的(6ヶ月ごと)に報告しなければならない(生物由来製品に関する感染症定期報告制度)。

2 正
生物由来製品の添付文書には、以下の事項を記載する義務がある。
・遺伝子組換え技術を応用して製造される場合には、その旨
・当該生物由来製品の原料又は材料のうち、人その他の生物に由来する成分の名称
・当該生物由来製品の原材料である人その他の生物の部位等の名称
・その他当該生物由来製品を適正に使用するために必要な事項
・特定生物由来製品には、原材料に由来する感染症を完全に排除することはできない旨

3 誤
製造業者が自らその製造を実地に管理しようとするときは、厚生労働大臣の承認を受けなければならない。
生物由来製品の製造業者は、当該生物由来製品の製造については、厚生労働大臣の承認を受けて自らその製造を実地に管理する場合のほか、厚生労働大臣の承認を受けて生物学的知識を有する者その他の技術者を置かなければならない。

4 誤
生物由来製品の廃棄に関しては、特段の手続きを必要としない。

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