平成31年度 第104回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 316,317

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問 316  正答率 : 91.1%
問 317  正答率 : 70.2%

 国家試験問題

国家試験問題
56歳男性、会社員。健康保険組合に加入しており、本人負担は3割である。現在、2型糖尿病と活動期の潰瘍性大腸炎のため、病院で治療を受けている。治療中の潰瘍性大腸炎の薬の効果が実感できず、製薬企業から病院へ依頼があったプラセボを対照薬とする二重盲検法による治験に参加することになった。ただし、2型糖尿病の治療は、DPP−4阻害剤を服用しているが、当該疾患は治験の対象外である。

問316(実務)
治験コーディネーターが被験者へ説明した内容のうち、適切でないのはどれか。1つ選べ。

1 治験への参加は、いつでも取りやめることができます。


2 プラセボが投与されることがあります。


3 モニターなど製薬企業の関係者が、あなたのデータを見ることがあります。


4 希望すれば、治験中に実薬かプラセボのどちらを投与されているのかを教えてもらえます。


5 治験薬は、決められた用量と用法を守り、現在服用している薬以外は自己判断で併用しないでください。




問317(法規・制度・倫理)
当該患者の治験実施期間内における診療費の取扱いに関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

1 全ての診療費の項目が保険給付の対象になる。


2 治験は選定療養に該当するため保険給付との併用が認められる。


3 治験は評価療養に該当するため保険給付との併用が認められる。


4 治験は患者申出療養に該当するため保険給付との併用が認められる。


5 全ての診療費の項目が保険給付の対象から除外される。

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問 316    
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問316 解答 4

1 適切
治験責任医師等が被験者となるべき者に交付する説明文書には、治験の参加をいつでも取りやめることができる旨の記載があるため、CRCが説明した内容は適切である。

2 適切
本問の治験は、「プラセボを対照薬とする二重盲検法による治験」であるため、CRCが説明した内容は適切である。

3 適切
治験を依頼した製薬企業は、モニターや監査担当者などを治験実施医療機関に派遣し、被験者の秘密が保全されることを条件に、治験がGCP省令に従っているかどうか、治験が治験実施計画書に従って行われているかどうかなどを被験者のデータを閲覧することで確認することがあるため、CRCが説明した内容は適切である。

4 不適切
本問の治験は、「二重盲検法による治験」である。二重盲検法は、薬物を投与する医師と被験者のいずれもが実薬かプラセボかを知らない状態で投与する比較試験であるため、被験者が希望しても治験中に実薬かプラセボのどちらを投与されているのかを教えてもらうことはできない。

5 適切
被験者の自己判断で、治験責任医師等が把握していない医薬品を使用するべきではない。治験中に治験薬以外の薬を併用することにより治験データに影響を及ぼすことがあるため、CRCが説明した内容は適切である。


問317 解答 3

治験は評価療養に該当する。保険医が治験薬を使用する場合は、治験薬に係る医療費が医療保険の対象外となり、その他の医療費は医療保険の対象となる。評価療養、選定療養又は患者申出療養を含む療養については、保険外併用療養費として保険給付が行われる。
保険外併用療養費について以下に示す。

【保険外併用療養費】
選定療養、評価療養又は患者申出療養を含む療養については、要する費用のうち、選定療養、評価療養又は患者申出療養の部分は患者の自己負担とし、基礎的な部分(一般診療と共通する部分)は保険給付を行うという制度。

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