令和03年度 第106回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 320,321

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問 320  正答率 : 14.1%
問 321  正答率 : 73.7%

 国家試験問題

国家試験問題
薬局において、以下の「かぜ薬4 − ②」(薬局製造販売医薬品)を販売した。その翌日、購入者から、10歳の息子が今朝この薬を服用して30分後くらいから呼吸が苦しくなり意識が薄らいできたとの電話相談があった。購入者は、購入後初めてこの医薬品を使用したとのことであった。なお、この医薬品の製造後、最初に販売したのがこの購入者であり、他の購入者はいなかった。

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問320(実務)
薬剤師の対応として適切でないのはどれか。1つ選べ。

1 健康被害の状況を確認し、緊急の場合には受診等するように指示した。


2 大人の1/2の量で服用したか確認した。


3 患者とのやり取りを記録に残した。


4 各成分の投入量に間違いがなかったか当該ロットの製造記録の確認を行った。


5 当該製品の含有成分には呼吸抑制を起こす薬剤はないと判断した。




問321(法規・制度・倫理)
その後、販売したこの医薬品について調査を行ったところ、一部の成分の投入量を誤って製造していたことが判明したため、薬剤師は薬局の製造物責任の検討を行った。製造物責任に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

1 この医薬品は、製造物責任法における「製造物」に該当しうる。


2 この医薬品の成分投入量が正しければ、添付文書等に不備があっても、製造物責任法における「欠陥」には該当しない。


3 購入者は、製造物責任に基づく損害賠償請求を行う場合、医薬品の「欠陥」の他に薬局の「過失」を立証する必要がある。


4 医薬品については、製造物責任法における「欠陥」は、最高の科学水準で求められる安全性を欠いていることをいう。


5 身体に損害があった場合の製造物責任に基づく損害賠償請求には、消滅時効はない。

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問 320    
問 321    

 e-REC解説

問320 解答 解なし

「かぜ薬4 − ②」(薬局製造販売医薬品)にはジヒドロコデインリン酸塩酸が含有されているため、副作用として呼吸抑制が発現する可能性がある。よって、選択肢5の対応が不適切である。
2017年に12歳未満の小児へのコデイン類含有製剤の使用が禁忌となったことに伴い、コデイン類含有製剤である「かぜ薬4 − ②」などのような薬局製造販売医薬品の用法用量から12歳未満の小児の用法・用量が削除されることとなり、現在、設問の用法・用量では使用されていない。
したがって、本問は変更前の用法・用量をもとにした問題・選択肢となっており、適切ではないため、採点対象から除外された。


問321 解答 1

1 正
製造物責任(PL)法において、製造物は「製造又は加工された動産」と定義されている。本問の医薬品は薬局で製造し販売される薬局製造販売医薬品であり、PL法の製造物に該当する。

2 誤
薬局製造販売医薬品の成分投入量が正しくても、添付文書の記載不備はPL法上の「欠陥」に該当する。

3 誤
PL法は、人の生命、身体又は財産に被害が生じた場合に、製造物に「欠陥」があることや欠陥と被害に因果関係があることを立証することにより、製造業者の「過失」の有無にかかわらず、損害賠償責任を負わせることができる。したがって、薬局製造販売医薬品の購入者が製造業者に「過失」があったことを証明する必要はない。

4 誤
PL法において「欠陥」とは、当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることと定義されている。

5 誤
損害賠償の請求権は、被害者等が損害及び賠償義務者を知った時から3年間(人の生命又は身体を侵害した場合は5年間)請求を行わない時、又は製造業者等が当該製造物を引き渡してから10年を経過した時は、時効により消滅する。

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