平成29年度 第102回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 322,323

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問 322  正答率 : 62.0%
問 323  正答率 : 54.3%

 国家試験問題

国家試験問題
68歳男性。前立腺がん患者を対象とした治験に参加している。当該患者から担当のCRC(治験コーディネータ)である薬剤師に電話があり「今朝から、お腹のあたりに真っ赤な湿疹ができている。」と連絡があった。湿疹は、この治験薬の代表的な副作用の1つで、参加同意を得る際にも説明していた。

問322(法規・制度・倫理)
CRCは、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(GCP省令)に治験協力者として規定されている。治験協力者について正しいのはどれか。1つ選べ。

1 治験実施計画書に氏名を記載しなければならない。


2 治験協力者となっている治験に係る治験審査委員会における審議及び採決に参加することができる。


3 治験協力者に対しては、治験責任医師によって治験内容が十分に説明される。


4 いわゆる医師主導治験の場合は、治験協力者を置くことができない。


5 説明文書を読むことができない被検者となるべき者に対する説明の立会人になることができる。




問323(実務)
CRCの対応として誤っているのはどれか。2つ選べ。

1 男性から聴取した情報を記録する。


2 男性が受診すべきかどうかを治験責任医師に相談する。


3 重篤な有害事象と判断した場合、直ちに実施医療機関の長に報告する。


4 有害事象及びその治療が、逸脱や中止基準に該当するかどうか治験責任医師と確認する。


5 治験薬による有害事象と判断された場合、副作用被害救済制度の利用について、男性に情報提供する。

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問 322    
問 323    

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問322 解答 3

1 誤
治験実施計画書に、治験の依頼をしようとする者の氏名や治験責任医師の氏名は記載する必要があるが、治験協力者の氏名を記載しなければならないという規定はない。

2 誤
実施医療機関の長、治験責任医師、治験分担医師および治験協力者は、治験審査委員会(IRB)における審議及び採決に参加することはできない。

3 正
治験責任医師は、治験分担医師、治験協力者に治験の内容について十分に説明する必要がある。

4 誤
医師主導治験とは、医師自らが治験を企画・立案し、治験計画届を提出して実施する治験のことであり、医師主導治験を実施する場合でも、通常の治験と同様に治験協力者を置くことができる。

5 誤
口頭等により説明文書の内容を理解することはできるが、説明文書を読むことができない者(例えば、視力障害を有する者等)を被験者とする場合には、説明に際して公正な立会人が必要となる。この場合は、被験者に加え、立会人も同意文書へ記名押印又は署名しなければならない。なお、治験責任医師や治験協力者等は説明をする側に位置する者であるため、公正な立会人としては適当ではない。


問323 解答 3、5

1 正しい
CRC(治験コーディネータ)は、治験に関して被験者から得られた情報を正確に記録し保存する必要がある。

2 正しい
CRCは、治験開始後に被験者に何らかの有害事象を認めた場合などにおいて、受診すべきかどうかを治験責任医師に相談する必要がある。

3 誤っている
重篤な有害事象と判断した場合に、実施医療機関の長に直ちに報告するのは、CRCではなく治験責任医師の役割である。

4 正しい
CRCは、有害事象及びその治療が、実施計画書からの逸脱や中止基準に該当するかどうか治験責任医師に確認する必要がある。

5 誤っている
治験薬による有害事象は、副作用被害救済制度における救済対象ではない。治験薬によって被験者に生じた有害事象は、あらかじめ締結しておいた保険契約などに基づいて補償することになるため、被験者に保険等に関した情報提供を行う必要がある。

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