令和06年度 第109回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 334

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問 334  正答率 : 52.4%

 国家試験問題

国家試験問題
58歳女性。2ヶ月前に全身性エリテマトーデスによるループス腎炎と診断され、薬物治療を継続中である。以下の処方箋並びに検査結果を持って薬局を訪れた。

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(検査値)
血清アルブミン4.0 g/dL、AST 10 IU/L、ALT 15 IU/L、LDH 125 U/L、
血清クレアチニン0.57 mg/dL、eGFR 86.3 mL/min/1.73m2
LDL−C 88 mg/dL、HDL−C 52 mg/dL、TG(トリグリセリド)105 mg/dL、
CK(クレアチンキナーゼ)30 U/L、K 2.8 mEq/L、Ca 8.4 mg/L、
CRP 0.42 mg/dL、HbA1c 6.5%、血圧132/84 mmHg、赤褐色尿(-)

患者から体調について、最近、手足のだるさやこわばり症状があることを聴取した。
また、吐き気や下痢症状はないことを確認した。薬剤師は副作用を疑い、処方医に疑義照会したところ、対策案を依頼された。提案する事項として、適切なのはどれか。2つ選べ。

1 ニカルジピンの中止


2 アトルバスタチンの中止


3 アゾセミドの追加


4 塩化カリウムの追加


5 スピロノラクトンの追加

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問 334    

 e-REC解説

解答 4、5

本患者の手足のだるさやこわばり症状は、カリウムの検査値が2.8 mEq/Lと基準値(3.5〜5.0 mEq/L)より低いことに起因していると考えられる。カリウムの値は嘔吐や下痢によっても低下するが、本患者に吐き気や下痢症状がないことから、薬剤性の低カリウム血症が疑われる。
低カリウム血症の対策として、第一に原因薬の中止が考えられるが、処方箋中の製剤で低カリウム血症の原因薬として疑われるのは副腎皮質ステロイド製剤であるプレドニゾロンであり、急な中止はループス腎炎の悪化やステロイド離脱症候群などの可能性があるため望ましくない。
低カリウム血症の対策として、第二にカリウムの補充が考えられるため、塩化カリウムなどのカリウム製剤の追加やスピロノラクトンなどのカリウム保持性利尿薬が用いられる。
なお、ニカルジピンやアトルバスタチンは低カリウム血症の報告は無いため中止の提案は不適切であり、アゾセミドは副作用に低カリウム血症があるため追加の提案は不適切である。

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