平成31年度 第104回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 94

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問 94  正答率 : 63.5%

 国家試験問題

国家試験問題
液体クロマトグラフィーを用いて生体成分や薬物を定量分析する際には、高感度化や選択性の向上を目的として誘導体化する場合が多い。誘導体化に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。

1 プレカラム誘導体化法では、長時間を要する誘導体化反応を利用できる。


2 ニンヒドリンを反応試薬として用いるプレカラム誘導体化法によって、アミノ酸を一斉分析することが可能である。


3 ポストカラム誘導体化法は、試料中の夾雑成分の影響を受けにくい。


4 ポストカラム誘導体化法では、1つの分析対象物から複数の誘導体が生成しても問題ない。


5 ジアステレオマー誘導体化法によって、鏡像異性体を光学不活性なカラムで分離することができる。

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問 94    

 e-REC解説

解答 2

クロマトグラフィーで用いる検出器に対して目的成分が検出されるのに適した吸光や蛍光を持たない場合、誘導体化(ラベル化)を行い検出することがある。目的成分を誘導体化したのちにカラムで分離する方法をプレカラム誘導体化法といい、試料成分をカラムで分離したのちに、目的成分を誘導体化する方法をポストカラム誘導体化法という。以下は、それぞれの誘導体化法の特徴である。
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1 正しい
プレカラム誘導体化法は、装置に注入する前に試料を誘導体化するため、長時間を要する誘導体化反応に利用できる。一方、ポストカラム誘導体化法は、装置内で展開中の試料と誘導体化試薬を反応させるため、迅速な誘導体化反応が不可欠となる。

2 誤っている
ニンヒドリンを誘導体化試薬として用いるのは、ポストカラム法である。ポストカラム誘導体化法は、アミノ酸の一斉分析を行うことができる。

3 正しい
ポストカラム誘導体化法は、試料成分をカラムで分離したのちに誘導体化するため、試料中の夾雑成分の影響を受けにくい。一方、プレカラム誘導体化法は、分離を行う前の試料を誘導体化するため、試料中の夾雑成分の影響を受けやすい。

4 正しい
ポストカラム誘導体化法は、試料成分をカラムで分離したのちに誘導体化を行うため、1つの分析対象物から複数の誘導体が生成しても問題ない。一方、プレカラム誘導体化法は、分離を行う前の試料を誘導体化するため、1つの分析対象物から複数の誘導体が生成すると誘導体間での保持時間が異なり、分離が不正確になる可能性がある。

5 正しい
ジアステレオマー誘導体化法は、試料にキラル誘導体化試薬を反応させてジアステレオマーに誘導体化し、鏡像異性体(エナンチオマー)の分離を行う方法である。エナンチオマー間では物理化学的性質が同一だが、ジアステレオマー間では物理化学的性質が異なる。ジアステレオマーに誘導体化された試料は、通常の分配クロマトグラフィーで極性の違いにより分離することができる。

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