令和07年度 第110回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 94

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問 94  正答率 : 50.0%

 国家試験問題

国家試験問題
次の酵素反応の反応速度νはミカエリス・メンテンの式に従う。

スクリーンショット 2025-05-28 11.51.07.png

ただし、Eは酵素、Sは基質、ESはEとSの複合体、Pは生成物を表し、ミカエリス定数をKm、最大反応速度をVmaxとする。この反応に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 νは、Pの生成速度スクリーンショット 2025-05-28 11.54.29.pngで表される。


2 νは、[ES]が一定スクリーンショット 2025-05-28 11.55.38.pngとなる定常状態を仮定した場合の速度である。


3 [S]がKmの2倍であるとき、νはVmaxの1/4となる。


4 Kmは反応温度に依存しない。


5 Kmが小さいほどEとSの親和性は低い。

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問 94    

 e-REC解説

解答 1、2

1 正
酵素反応の反応速度vを表すミカエリス・メンテンの式の導出時の仮定を次に示す。
スクリーンショット 2025-05-28 11.59.05.png
一般に酵素反応では基質Sの濃度に比べてはるかに低い濃度の酵素Eを用いているため、酵素Eのほとんどが複合体ESになっていて、反応を終えた酵素Eもすぐに新しい基質Sと反応して複合体ESになると考えられるため、複合体ESの濃度は常に一定と仮定される。つまり、酵素反応の反応速度vは、複合体ESの反応速度(d[ES]/dt)が0となる定常状態を仮定した場合の速度である。このとき、本酵素反応の律速段階は、複合体ESから生成物Pが生成する反応となるので、酵素反応の反応速度νは律速段階におけるPの生成速度(d[P]/dt)で表される。(連続反応の全体の反応速度≒律速段階の反応速度)

2 正
解説1参照

3 誤
[S]がKmの2倍であるとき、ミカエリス・メンテンの式に[S]=2Kmを代入すると、νはVmaxの2/3となる。
スクリーンショット 2025-05-28 12.01.20.png

4 誤
Kmは反応温度に依存する。なお、Kmは温度等の条件が一定であれば酵素に固有の値をとる。

5 誤
ミカエリス定数Kmは以下の式で定義される。Kmが小さいほど[ES]が大きくなる、つまり複合体ESを作りやすくなると読み取れるため、EとSの親和性は高いと言える。
スクリーンショット 2025-05-28 12.02.48.png

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