平成30年度 第103回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 97

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問 97  正答率 : 55.2%

 国家試験問題

国家試験問題
生理食塩液は、塩化ナトリウムを0.9 w/v%含む等張液である。日本薬局方「生理食塩液」中の塩化ナトリウム(式量:58.44)の定量法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
本品20mLを正確に量り、水30 mLを加え強く振り混ぜながら0.1 mol/L硝酸銀液で滴定する(指示薬:   A   試液3滴)。」

1 下線部の操作で用いられる計量器具は、メスシリンダーである。


2    A   に入るのは、フルオレセインナトリウムである。


3 生理食塩液1 L中には、塩化ナトリウムが15.4 mmol含まれる。


4 滴定終点においては、過剰な銀イオンと指示薬からなる赤褐色の沈殿を生じる。


5 0.1 mol/L硝酸銀液1 mLに対する塩化ナトリウムの対応量は5.844 mgである。

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問 97    

 e-REC解説

解答 2、5

1 誤
下線部の操作では、生理食塩液20 mLを正確に量り取り、別の容器に加えている。このような操作では出用器具であるホールピペットを用いる。なお、メスシリンダーは、器具内部で溶質を溶液に溶かして正確に一定液量の溶液を作りたい又は、器具内部である濃度溶液に一定量に溶液を加えて、求める希釈倍率の溶液の一定量を得たいときに用いる受用器具である。

2 正
本法は、沈殿滴定におけるFajans法を利用した滴定法である。本定量法は、塩化ナトリウム(NaCl)に硝酸銀(AgNO3)を加えて反応させ、塩化銀(AgCl)の白色沈殿を生じさせる方法(反応①)である。
スクリーンショット 2018-08-15 12.13.26.png
沈殿が生じるとAgClの分子はコロイド粒子を形成する。反応の終点前ではAgClのコロイド粒子は溶液中に過量に存在するClを吸着し、負に帯電しているが、反応の終点に達しClがなくなると、過剰となったAgNO3中のAgがAgClのコロイド粒子に吸着し、粒子の表面は正に帯電する。正に帯電したAgClコロイド粒子に、負に帯電した指示薬のフルオレセインが吸着し、溶液が黄緑色から紅色に変化する。この色調変化から滴定終点の判定が可能となる。

3 誤
生理食塩液1 L(9g/L)中に含まれる塩化ナトリウムの物質量は、以下のように計算する。
スクリーンショット 2018-08-15 12.16.10.png
よって、生理食塩液1 L中には、塩化ナトリウムが154 mmol含まれる。

4 誤
解説2参照

5 正
反応①より塩化ナトリウムと硝酸銀の反応比は1:1となるため、0.1 mol/L硝酸銀1 mL(0.1 mmol/mL)と反応する塩化ナトリウムは0.1 mmolとなる。よって、塩化ナトリウムの式量58.44(g/mol=mg/mmol)より、0.1 mol/L硝酸銀液1 mLに対する塩化ナトリウムの対応量(mg)は以下のように計算される。

0.1 mol/L硝酸銀1 mL=0.1 mmol×58.44 mg/mmol NaCl
           =5.844 mg NaCl

したがって、0.1 mol/L硝酸銀液1 mLに対する塩化ナトリウムの対応量は5.844 mgである。

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