令和05年度 第108回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 99

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問 99  正答率 : 63.3%

 国家試験問題

国家試験問題
下図は液体クロマトグラフィーにより得られた成分Aと成分Bのクロマトグラム(模式図)で、ピークAは成分A、ピークBは成分B由来である。この図に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

スクリーンショット 2023-06-12 12.35.03.png


1 ピークAとピークBの分離係数をαとすると、成分Aの質量分布比kAは成分Bの質量分布比kBのα倍である。


スクリーンショット 2023-06-12 12.39.10.png

3 WAWBがいずれも小さくなるほど分離係数αは大きくなる。


4 ピークAとピークBの分離度Rsは、Rs>1.5である。


5 Rsを大きくするには理論段高さHが小さいカラムを選択する。

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問 99    

 e-REC解説

解答 4、5

1 誤
分離係数αは、クロマトグラム上のピーク相互の保持時間の関係を示す値であり、2つの成分の質量分布比k1k2の比(k2k1)で表される1以上の値である。

スクリーンショット 2023-09-22 10.24.37.png

質量分布比kは、保持時間tRが大きいほど大きくなるため、クロマトグラムより、成分Aの質量分布比kAと成分Bの質量分布比kBの大小関係として「kBkA」が成り立つ。
よって、本液体クロマトグラムにおけるピークAとピークBの分離係数をαと成分Aの質量分布比kAと成分Bの質量分布比kBの関係は以下の通りである。

スクリーンショット 2023-09-22 10.24.44.png

したがって、成分Aの質量分布比kAは成分Bの質量分布比kBの1/α倍である。

2 誤
理論段数Nは、カラムにおける物質のバンドの広がりの度合いを示す値であり、値が大きいほどカラムの分離能は高くなる。なお、理論段数Nは、下記の式で表される。

スクリーンショット 2023-06-12 12.48.02.png

3 誤
分離係数αはピークAのピーク幅WAとピークBのピーク幅WBのどちらにも依存しないため、WAWBが小さくなってもαは変化しない。

4 正
分離度Rsは、クロマトグラム上のピーク相互の保持時間とそれぞれのピーク幅との関係を示す値であり、値が大きいほどカラムの分離能は高くなる。Rsが1.5以上の場合2つのピークは完全に分離しているといえる。
設問中のクロマトグラムより、ピークAとピークBは完全に分離しており、ピークAとピークBの分離度Rsは、Rs>1.5である。

5 正
理論段高さHは、カラムの長さを理論段数で除した値であり、値が小さいほどカラムの分離能は高くなる。したがって、Rsを大きくするには理論段高さHが小さいカラムを選択する。

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