平成26年度 第99回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 96

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問 96  正答率 : 52.4%

 国家試験問題

国家試験問題
以下の記述は日本薬局方アスピリンの定量法に関するものである。
「本品を乾燥し、その約1.5 gを精密に量り、0.5 mol/L水酸化ナトリウム液50 mLを正確に加え、二酸化炭素吸収管(ソーダ石灰)を付けた還流冷却器を用いて10分間穏やかに煮沸する。冷後、直ちに過量の水酸化ナトリウムを0.25 mol/L硫酸で滴定する(指示薬:フェノールフタレイン試液3滴)。同様の方法で空試験を行う。

0.5 mol/L水酸化ナトリウム液1 mL=  ア  mg C9H8O4

定量法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。ただし、アスピリンの分子量は180.16である。

1 「精密に量る」とは、指示された数値の質量をその桁数まで量ることを意味する。
2 下線部の操作は、アスピリンの加水分解反応(けん化)を促進するために行う。
3 空試験により、空気中の二酸化炭素が0.5 mol/L水酸化ナトリウム液に溶け込んだ影響を補正することができる。
4 0.25 mol/L硫酸の代わりに0.5 mol/L塩酸で同様の操作を行うと、  ア  に示した対応量は2倍になる。
5   ア  に入る数値は90.08である。

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問 96    

 e-REC解説

解答 2、3

1 誤
「精密に量る」とは、量るべき最少量を考慮し、0.1 mg、10 µg、1 µg又は0.1 µgまで量ることを意味する。なお、指示された数値の質量をその桁数まで量ることを意味しているのは「正確に量る」である。

2 正
下線部の操作は、アスピリンの加水分解(けん化※)を促進するために行っている。
※けん化とは、水酸化ナトリウムなどの塩基を用いてエステル部分を加水分解することであり、加熱により促進される。

3 正
本法は水酸化ナトリウム液を硫酸で滴定する逆滴定である。本法では、水酸化ナトリウムが空気中の二酸化炭素と反応することにより誤差が生じる恐れがあるため、空試験によってその影響を補正する。

4 誤
対応量(mg/mL)は標準液1 mLと反応する医薬品の量(g)である。本法は逆滴定のため、医薬品と直接反応しない標準液(0.25 mol/L硫酸)を別の標準液に代えても対応量は変化しない。
※ただし、標準液を代えた場合、消費量は変化する可能性がある。硫酸は2価の酸であるため、水酸化ナトリウム(1価の塩基)とは体積比1:2で反応する。また、塩酸は1価の酸であるため、水酸化ナトリウムと体積比1:1で反応する。よって、0.25 mol/L硫酸の代わりに0.5 mol/L塩酸で同様の操作を行っても、消費量は変化しない。

5 誤
1 molのアスピリンは、下記のように2 molの水酸化ナトリウムと反応する。
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