平成26年度 第99回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 200,201

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問 200  正答率 : 53.4%
問 201  正答率 : 33.8%

 国家試験問題

国家試験問題
3歳男児。急性白血病で化学療法を施行中であるが、感染症治療のため、以下の処方せんが発行され
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問200(実務)
この処方せんの疑義照会について、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 ノルフロキサシン小児用錠は粉砕投与できない。
2 スクラルファート細粒と同時投与するとノルフロキサシン小児用錠の効果が減弱することがある。
3 イトラコナゾール内用液はノルフロキサシン小児用錠と併用禁忌なので、テルビナフィン塩酸塩錠へ変更すべきである。
4 イトラコナゾール内用液は空腹時の服用が推奨される。
5 アセトアミノフェンシロップはノルフロキサシン小児用錠の効果を増強させる。


問201(物理・化学・生物)
以下の表は、処方された薬物の物性を示したものである。薬物間相互作用が予想される組合せはどれか。2つ選べ。

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問 200    
問 201    

 e-REC解説

問200 解答 2、4

1 誤
ノルフロキサシン小児用錠は、苦味や吸湿性を軽減することを目的としたフィルムコーティング錠であり、吸湿性や苦味などに問題がなければ粉砕することが可能である。

2 正
スクラルファート細粒には、アルミニウムが含有されている。そのため、スクラルファート細粒とノルフロキサシン併用すると不溶性のキレートを形成し、ノルフロキサシンの消化管からの吸収性が低下する。

3 誤
イトラコナゾールとノルフロキサシンは併用禁忌の組合せではない。そのため、イトラコナゾール内用液をテルビナフィン塩酸塩錠に変更する必要はない。

4 正
イトラコナゾールは脂溶性が高く、弱塩基性薬物であることから、溶解させるためには、食事による胆汁酸の分泌及び胃酸の分泌を必要とするため、イトラコナゾールカプセル剤は、食直後に服用することとなっている。一方、イトラコナゾール内用液(溶解補助剤として塩酸が含まれている)ではイトラコナゾールが溶解状態であり、消化管内における溶解過程が不要である。よって、イトラコナゾール内用液は、空腹時の服用が推奨される。

5 誤
添付文書には、アセトアミノフェンシロップはノルフロキサシン小児用錠の効果を増強させるという記載はない。なお、非ステロイド性抗炎症薬(フルルビプロフェンなど)は、ニューキノロン系抗菌薬(ノルフロキサシンなど)によるGABA受容体結合阻害作用を増強させるので、併用禁忌とされている。


問201 解答 1、4

本患者に処方された医薬品の中で、薬物間相互作用が予想される医薬品の組合せは、ノルフロキサシンとスクラルファートである。本問では、ノルフロキサシンとスクラルファートが示す物性(性状、溶解性、オクタノール/水分配係数、pKa)を選ぶ問題である。各医薬品の特徴を以下に示す。

ノルフロキサシン
カルボン酸とアミンを持つことから、両性化合物である。このことから、2つのpKaを有する選択肢4であると考えられる。

スクラルファート
構造に硫酸アルミニウム塩を持つことから、酸性度が高い(pKaが低い)。このことから、pKaが低い選択肢1であると考えられる。

イトラコナゾール
今回処方されている他の医薬品に比べ、脂溶性が高い。このことから、オクタノール/水分配係数の大きい選択肢2であると考えられる。

アセトアミノフェン
フェノール性水酸基を持つことから、非常に酸性度が低い(pKaが高い)。このことから、pKaが高い選択肢3であると考えられる。

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