平成26年度 第99回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 206,207

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問 206  正答率 : 72.5%
問 207  正答率 : 58.7%

 国家試験問題

国家試験問題
63歳男性。脂質異常症と診断され、食事療法及び運動療法とともにフルバスタチンナトリウム錠20 mgによる治療を受けていたが、改善が見られなかった。そこで、以下の処方に変更された。
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問206(実務)
この患者への薬剤師による服薬指導の内容として誤っているのはどれか。1つ選べ。

1 脂質異常症は自覚症状がないが、服薬は重要であることを説明した。
2 食事療法及び運動療法は継続するように指導した。
3 コレスチミド錠を飲み忘れた場合、就寝前にフルバスタチンナトリウム錠と一緒に服用するように指導した。
4 筋肉痛や脱力感がある場合は受診するように指導した。
5 便秘が起こることがあると説明した。


問207(物理・化学・生物)
フルバスタチンナトリウムのほかにも、以下の例のように分子内にフッ素原子が導入された医薬品が数多く開発されている。医薬品の設計において水素原子をフッ素原子に置き換えることにより期待される主な効果はどれか。2つ選べ。
スクリーンショット 2017-04-04 19.00.15.png

1 炭素−フッ素結合は切断されにくいので、生体内での安定性が高まる。
2 親水性の向上により、吸収が促進される。
3 フッ素は電気陰性度が大きいので、分子のイオン化が促進される。
4 分子全体の大きさにはほとんど影響を与えずに生物活性が増強される。

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問 206    
問 207    

 e-REC解説

問206 解答 3

1 正しい
脂質異常症は自覚症状がないが、狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患や脳血管障害などの動脈硬化症状と密接に関係する。そのため、これら合併症を予防する目的で、食事療法や運動療法とともに薬物療法を行うことが重要である。

2 正しい
解説1参照

3 誤っている
フルバスタチンナトリウムとコレスチミドを同時に服用すると、フルバスタチンナトリウムがコレスチミドに吸着され、フルバスタチンナトリウムの吸収性が低下する。そのため、フルバスタチンナトリウムとコレスチミドは同時に服用せず、コレスチミド服用後、4〜6時間後にフルバスタチンナトリウムを服用することが望ましい。

4 正しい
フルバスタチンナトリウム及びコレスチミドの重大な副作用に横紋筋融解症があり、その初期症状として、筋肉痛や脱力感があげられる。そのため、これらの症状がみられた場合には、受診するように指導する。

5 正しい
コレスチミドを服用することにより、便秘が起こることがあるため、便秘が起こることがあることを説明する必要がある。


問207 解答 1、4

1 正
C−F結合はC−H結合に比べて結合エネルギーが大きいため、水素原子をフッ素原子に置き換えることによって、酵素による結合の切断を受けにくくなる。そのため、水素原子をフッ素原子に置き換えることによって、医薬品の安定性が高まる。

2 誤
ハロゲンは疎水性を増大させる官能基であるため、水素原子をフッ素原子の置き換えることによって医薬品の脂溶性が増大(親油性が向上)する。そのため、水素原子をフッ素原子の置き換えることのよって吸収性が増大する。

3 誤
C−F結合はC−H結合に比べて切断されにくいため、水素原子をフッ素原子の置き換えることによって、イオン化されにくくなる。

4 正
フッ素は原子半径が比較的小さいため、水素原子をフッ素原子に置き換えても分子全体の大きさはほとんど影響を与えない。また、水素原子をフッ素原子に置き換えると、酵素による結合の切断を受けにくくなること(解説1参照)や吸収性が増大する(解説2参照)ため、生物活性が増強される。

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