平成25年度 第98回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 228,229

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問 228  正答率 : 82.2%
問 229  正答率 : 61.2%

 国家試験問題

国家試験問題
生後11ヶ月男児。約2週間前より体に発赤や湿疹が多数出現し、小児科を受診した。その結果、食物によるアトピー性皮膚炎と診断され、薬物治療とともに原因食物除去も医師より提案された。母親が処方せんを保険薬局に持参し、薬剤師に薬物治療のみならず日常の食事や生活の注意点についても相談した。

問228(実務)
食物によるアトピー性皮膚炎における日常生活の注意点について、薬剤師が母親に説明をした。説明の内容として、適切なのはどれか。2つ選べ。

1 薬物治療で症状が改善した場合、母親の判断で薬剤の服用をすぐ中止する。
2 皮膚の清潔を保持し、保湿するなどのスキンケアも重要である。
3 乳児期に発症する食物アレルギーは、成長に伴い耐性を獲得する場合が多い。
4 症状が改善した場合には、すぐに食物制限を解除する。


問229(衛生)
食物アレルギー原因食品とその表示に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 乳児期の食物アレルギーの原因食品として最も多いのは、大豆である。
2 鶏卵中の食物アレルギーの主な原因物質は、卵黄に存在するタンパク質である。
3 食品中のアレルギー物質の表示は、「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」(JAS法)に定められている。
4 落花生は重篤な症状を引き起こし、生命にかかわることもあるので、特定原材料に指定されている。
5 小麦に関しては、キャリーオーバーの場合でも、表示が義務づけられる。

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問 228    
問 229    

 e-REC解説

問228 解答 2、3

1 誤
アトピー性皮膚炎は、増悪と寛解を繰り返す慢性疾患であり、症状が改善しても潜在的に症状が残っている場合があるので、自己の判断で中止せず、医師又は薬剤師の判断に従うことが大切である。

2 正
アトピー性皮膚炎の患者では、皮膚のバリア機能が低下して乾燥状態にあり、刺激によってかゆみを伴いやすい状態にあるので、保湿によるスキンケアが重要である。

3 正
乳児のアレルギーは成長するに伴って耐性を獲得する場合が多く、特に卵、乳、小麦は耐性を獲得しやすい。

4 誤
症状が改善したとしてもすぐに食物制限を解除してはならない。アレルギーテストを実施し、医師との相談に基づいて食物制限の解除を行う。


問229 解答 4、5

1 誤
乳児期の食物アレルギーの原因食品として最も多いのは卵であり、特に卵白に含まれるオボアルブミンがアレルギーの原因となる。

2 誤
解説1参照。

3 誤
食品のアレルギー物質の表示は、食品表示法に基づき義務付けられている。
※当時は食品衛生法によってアレルギー物質の表示が義務づけられていたが、法改正によって食品表示法による表示が義務づけられている。

4 正
特定原材料とは、アレルギー患者数が多い食品又は特に重篤な症状を示す食品のことであり、そば、落花生、卵、乳、えび、かに、小麦の7品目が指定されている。

5 正
特定原材料に関しては、微量でもアレルギーを引き起こす可能性があるため、キャリーオーバーの場合でも表示しなければならない。

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