平成25年度 第98回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 290,291

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問 290  正答率 : 35.0%
問 291  正答率 : 92.1%

 国家試験問題

国家試験問題
55歳男性。体重52 kg。保険薬局に以下の処方せんを持参した。
スクリーンショット 2017-04-17 12.19.27.png

問290(病態・薬物治療)
この症例の病態と薬物治療に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 抗コリン薬は認知症症状をきたしやすく、高齢者では使用を控える。
2 Wearing−offの症状に対する処方である。
3 Hoehn and Yahrの重症度分類が用いられる。
4 神経変性疾患として、アルツハイマー病より有病率が高い。
5 On−offとはレボドパ製剤の1回服用後の効果持続時間が短縮していく症状である。


問291(実務)
この患者に対する服薬指導時の対応として、適切なのはどれか。2つ選べ。

1 前回の来局から本日までの日数と前回の投与日数を確認した。
2 手のふるえが見られたが、患者に確認することなくPTPシートのまま投薬した。
3 尿が出にくくないか確認した。
4 自動車の運転はさしつかえないと説明した。

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問 290    
問 291    

 e-REC解説

問290 解答 1、3

1 正
アセチルコリンは認知機能に関与する伝達物質の一つである。そのため、トリヘキシフェニジルなどの中枢性抗コリン薬は、高齢者及び認知症を合併している患者に用いた場合、認知症症状を誘発又は悪化させることがあるため、使用を控える必要がある。

2 誤
Wearing−off現象とは、レボドパ長期投与に伴いレボドパの効果持続時間が短縮することをいう。この現象の対策としては、
①1日量の範囲内でレボドパの服用回数を増加させる、
②レボドパの作用を増強させる薬剤(エンタカポン、セレギリン、ゾニサミド)の併用、
などがあげられる。

3 正
Hoehn and Yahrの重症度分類は、パーキンソン病の臨床症状の重症度を5段階(ステージ)に分類したものである。
スクリーンショット 2017-04-17 12.19.35.png

4 誤
パーキンソン病の有病率は、人口10万人に約100人程度であり、アルツハイマー病のそれは、人口10万人に約2000人程度と、パーキンソン病より高い。

5 誤
設問はWearing−off現象に関する記述である。On−off現象とは、レボドパの血中濃度とは無関係に症状が急激に改善したり、悪化したりするようになる現象のことをいう。


問291 解答 1、3

1 正
前回来局からの日数と投与日数を確認することは、患者の服薬コンプライアンスの確認として重要である。

2 誤
パーキンソン病の症状である手のふるえ(振戦)により、PTPシートから錠剤を取り出すことが困難になる可能性がある。そのため、患者に確認しながら、必要に応じて一包化調剤を提案するなどの対応が必要である。

3 正
トリヘキシフェニジルなどの抗コリン薬の副作用として排尿困難などがみられる可能性があるため、患者に確認する必要がある。

4 誤
レボドパやトリヘキシフェニジル投与中に、前兆のない突発的傾眠、眼の調節障害、注意力及び集中力の低下などがみられることがあるため、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作には従事させないように注意する必要がある。

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