平成24年度 第97回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 296,297

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問 296  正答率 : 55.0%
問 297  正答率 : 96.8%

 国家試験問題

国家試験問題
68歳女性。腰痛を主訴に整形外科に通院し、以下の薬剤が処方されていた。歩行等に問題はない。腰椎骨密度は、若年成人平均値(YAM)比が1年前は67%であったのに対し、1ヶ月前の結果は1ヶ月前の結果は69%と改善傾向を示した。
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問296(病態・薬物治療)
本疾患及び患者について、誤っているのはどれか。2つ選べ。

1 腸管からのカルシウム吸収が低下している。
2 骨吸収、骨形成がともに低下しているが、骨形成の低下が改善されている。
3 脊椎圧迫骨折、大腿骨頸部骨折などの骨折の危険性がある。
4 血清カルシウム濃度の制御に副甲状腺ホルモン、カルシトニン、活性型ビタミンDが関与する。
5 血清カルシウム濃度は上昇している。


問297(実務)
この患者が同居の家族と一緒に処方せんを持って保険薬局を訪れた。薬は、本人が自分で管理していた。今回、リセドロン酸ナトリウム錠とレバミピド錠の残薬があることがわかった。
この患者の服薬上の問題に対して、適切と考えられる対応はどれか。1つ選べ。

1 リセドロン酸ナトリウム錠は、起床時服用のため飲み忘れがあると判断し、朝食後服用への変更を医師に提案した。
2 レバミピド錠は、昼の飲み忘れが多いと判断し、朝食後に2錠、夕食後に1錠服用するように指導した。
3 骨密度はほぼ改善しているので、ロキソプロフェンナトリウム錠の服用中止を提案した。
4 同居の家族にも処方薬の服用方法を説明し、服用確認をお願いした。

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問 296    
問 297    

 e-REC解説

問296 解答 2、5

若年成人平均値(YAM:young adult mean)比とは、若年齢者の腰椎骨密度(測定困難な場合は大腿骨頸部骨密度)の平均骨密度を100%としたときの骨密度の比であり、患者に脆弱性骨折がある場合はYAM比80%未満を、脆弱性骨折がない場合はYAM比70%未満を骨粗しょう症と診断する。

1 正しい
一般に、高齢者の骨粗しょう症の患者では、日照時間が短いことなどによる活性型ビタミンD不足により、腸管からのカルシウム吸収は低下している。

2 誤っている
本症例は、骨吸収抑制作用を有するリセドロン酸ナトリウムの服用により骨密度が改善しているため、主に骨吸収の促進が改善されたと考えられる。

3 正しい
骨粗しょう症患者では、骨の脆弱化により、脊椎圧迫骨折や大腿骨頸部骨折などの骨折の危険性がある。

4 正しい
副甲状腺ホルモン(パラトルモン)、活性型ビタミンDは血清カルシウム濃度を増加させ、カルシトニンは血清カルシウム濃度を低下させる。

5 誤っている
骨粗しょう症では、血清カルシウム濃度は正常である。


問297 解答 4

1 誤
リセドロン酸ナトリウム錠は、Ca、Mg等の金属含量の高い飲料や食物、あるいは他の薬剤と同時に服用すると、キレートを形成し、本剤の吸収を妨げることがある。そのため、起床時に服用し、かつ服用後30分は飲食を避ける必要がある。

2 誤
用法・用量を変更しようとする際は疑義照会のもと、処方医の同意が必要なため、薬剤師の勝手な判断で処方を変更することはできない。

3 誤
ロキソプロフェンナトリウム錠は腰痛への対症療法として処方されているものと考えられる。そのため、骨密度の改善による服用中止の提案はすべきではない。

4 正
本患者は、自己管理では飲み忘れが生じてしまっているため、同居の家族に対しても処方薬の服用方法を説明し、服用確認を協力してもらうことは有効である。

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