平成24年度 第97回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 206,207

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問 206  正答率 : 28.7%
問 207  正答率 : 62.6%

 国家試験問題

国家試験問題
64歳男性。高血圧症と診断された。シュウ酸カルシウム結石による激痛を経験し、再発を恐れている。この患者の高血圧を利尿薬で治療するにあたり、医師からの求めに応じて、適切な薬剤の選択と結石の再発予防のための注意点について情報を提供した。


問206(実務)
提供すべき情報のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。

1 シュウ酸カルシウム結石の予防作用を併せ持つ降圧利尿薬として、アセタゾラミドが適している。
2 シュウ酸カルシウム結石の予防作用を併せ持つ降圧利尿薬として、ヒドロクロロチアジドが適している。
3 シュウ酸カルシウム結石の予防薬として、尿中でシュウ酸カルシウムと可溶性の複合体を形成するマグネシウム製剤が有効である。
4 シュウ酸を多く含む食品の摂取は、シュウ酸カルシウム結石を誘発するので避けるべきである。
5 カルシウムを多く含む食品は、シュウ酸の吸収を抑えるので摂取してもかまわない。


問207(物理・化学・生物)
尿路結石にはシュウ酸カルシウム結石のほかに、リン酸カルシウム結石、シスチン結石などがある。結石の構成成分の化学的性質に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

1 シュウ酸カルシウムを希硫酸に溶解させると、二酸化炭素を発生し分解する。
2 シュウ酸イオンは2座配位子として金属に配位し、キレートを形成する。
3 日本薬局方のpH測定法で規定されるリン酸塩pH標準液のpH値は、シュウ酸塩pH標準液のpH値よりも小さい。
4 シスチンを酸化するとシステインが生成する。

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問 206    
問 207    

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問206 解答 1

1 誤っている
アセタゾラミドは炭酸脱水酵素阻害薬であり、カルシウムの尿中排泄を促進するため、シュウ酸カルシウム結石を誘発することがある。よって、シュウ酸カルシウム結石を誘発している患者にアセタゾラミドは適していない。

2 正しい
ヒドロクロロチアジドはチアジド系利尿薬であり、カルシウムの尿中排泄を抑制するため、シュウ酸カルシウムを予防することが可能である。よって、シュウ酸カルシウム結石を誘発している患者にヒドロクロロチアジドは適している。

3 正しい
マグネシウム製剤は、尿中でシュウ酸カルシウムと可溶性の複合体を形成するため、シュウ酸カルシウム結石の予防薬として用いられる。

4 正しい
シュウ酸を多く含む食品(ほうれん草など)を摂取することにより、シュウ酸カルシウム結石が誘発される。そのため、シュウ酸を多く含む食品の摂取は避けるべきである。

5 正しい
カルシウムは腸管内でシュウ酸と結合し、シュウ酸の吸収を抑制するため、カルシウムを多く含む食品を摂取することにより、シュウ酸カルシウム結石を予防することができる。


問207 解答 2

1 誤
シュウ酸カルシウムを希硫酸に溶解させると、シュウ酸を発生し分解する。
CaC2O4+H2SO4 → H2C2O4+CaSO4

2 正
シュウ酸イオンは、カルボキシラートイオン(−COO-)を2つ有し、配位結合を2本形成することが可能である。よって、シュウ酸イオンの配位数は2であり、2座配位子として金属に配位し、キレートを形成する。

3 誤
pH標準液とは、日本薬局方一般試験法のpH測定法において、pHの基準として用いられるものであり、リン酸塩pH標準液のpH値は、シュウ酸 塩pH標準液のpH値よりも大きい。

4 誤
シスチンは、システイン2分子で形成されており、シスチンを還元すると、2分子のシステインが生成する。
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